過度なインフレと株価暴落のダブルパンチも…米国が「世界経済の覇者」でいられるワケ (写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、武者リサーチが2022年5月23日に公開したレポートを転載したものです。

リセッション回避可能説多数も…市場は信じていないか

世界株式はコロナショック後最大の下落に見舞われた。S&P500指数は年初来20%の下落となり悲観一色となっている。機関投資家の弱気心理を代表する現金比率は6%と2001年の米国同時多発テロ以来の高水準になっている。

 

リセッション回避が可能とする意見はエコノストの間では多数派であり、FRB始め米国当局もそう主張しているが、株式市場はあまり信じていないようである。

 

[図表1]世界の主要株価指標推移
[図表1]世界の主要株価指標推移

懸念となっていたインフレ…全方面でピークアウト

ただ、株式は往々にして楽観にも悲観にも極端に傾くものであり、絶望的になることはない。一番心配されているのは40年ぶりのレベルまで高まったインフレであるが、すでにピークアウトしつつある。

 

4月のCPIは8.3%(食品エネルギーを除くコアCPIでは6.2%)だが、年後半には5%台に低下、3年先に2~3%台に入っていくとみられる。金融市場が織り込んでいる長期的物価予想は10年国債利回りと物価連動10年債(TIPS)利回りの格差で観測できるが、それは4月末の3.0%をピークに5月20日時点では2.6%まで低下してきた。

 

インフレ期待がピークアウトしていく理由として、

 

①サプライチェーンが原因のインフレは収まりつつあること、

②原油・資源価格高騰もロシア原油代替源の模索に加えて中国・欧州の需要が鈍化することで落ち着くこと

③労働需給ひっ迫の米国では選択的賃金上昇が起きているが、全般的な賃金上昇ではないこと

④長期金利の上昇と株価の下落自体が景気抑制効果を住宅購入などですでにもたらしていること(いわゆる「債券自警団Bond vigilant」 効果)

 

などが指摘できる。

 

[図表2]米国物価上昇率/[図表3]米国金利と期待インフレ率推移
[図表2]米国物価上昇率/[図表3]米国金利と期待インフレ率推移

 

株式会社武者リサーチ 代表

1949年9月長野県生まれ。
1973年 横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社し、調査部に配属。87年まで企業調査アナリストとして繊維、建設、不動産、自動車、電機・エレクトロニクスを担当。ニューヨーク駐在の大和総研アメリカでチーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を経て、1997年1月ドイツ証券入社し、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーに就任。2009年7月株式会社 武者リサーチ設立、現在にいたる。

著者紹介

連載武者リサーチ経済・金融市場分析レポート

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