(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、武者リサーチが2022年5月6日に公開したレポートを転載したものです。

世界ハイテクの中心になった「TSMC」

世界のハイテク産業の主役はインターネットプラットフォーマーGAFAMであり、半導体もソフトウェア・設計といったソフトになっていると思われているが、必ずしもそれは正しくない。

 

世界の半導体市場では、最先端技術を確保した台湾の半導体企業「TSMC」が、サプライチェーン・バリューチェーンの核になっていることは疑いない。株式時価総額でみてもTSMCはほほ5,000億ドルとインテルを大きく引き離してエヌビディアと首位を争い、GAFAMの一角メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)に匹敵する水準にある。

 

[図表1]主要ハイテク企業株式時価総額推移
[図表1]主要ハイテク企業株式時価総額推移

 

TSMCは最先端で他を寄せ付けない技術力を誇っている。[図表2]は加工線幅別にみた各国シェアであるが、最先端デバイスでは台湾(TSMC)が圧倒していることが如実である。

 

[図表2]加工線幅別・国別半導体生産能力シェア
[図表2]加工線幅別・国別半導体生産能力シェア

 

「もはや唯一のライバルとも言えた韓国サムスン電子とも、大きな技術差がついた。台湾の新工場で世界最先端の3ナノ品半導体の量産を始める。さらに先端の2ナノ品の新工場建設も、年内に台湾で始めることを決めた。具体的には、1兆円規模を投じる最先端半導体の新工場を、新竹、台南、高雄と、台湾全土で次々に立ち上げる。

 

世界各国は経済安保の強化を目指し、多額の補助金も用意して、積極的にTSMCの誘致活動を行った。だが、TSMCは結局、首を縦には振らず、(トランプ政権の圧力によって2020年にアリゾナに最先端工場建設を決めたことを除き)、海外に新工場建設を決めたのは、わずかに日本の熊本1ヵ所のみ。それも先端品の工場ではない。」(日経新聞2022年4月1日付)

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページTSMCの圧倒的存在力を示す3つのエビデンス

本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧