(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、武者リサーチが2022年6月6日に公開したレポートを転載したものです。

米国株の底入れ後…日本株がグローバル市場の主役に?

日本株の投資チャンス到来……今年はサマーラリーが期待できるかもしれない。

 

市場は5月半ばまでの急落場面を過ぎ、落ち着きを取り戻している。米国株の底入れがほぼ明確になり、日本株が世界物色の焦点になってくるだろう。

 

コロナパンデミック、ウクライナ戦争、インフレと米国利上げ、という市場を巡る3重苦を市場は消化し終わり、底流にあるポジティブ要素を看過できなくなっているからだ。

 

コロナがほぼ制圧できたことの意味は大きい。コロナパンデミックにより欲求と貯蓄が蓄積されている。その解放の力は相当に大きい。コロナ忌明け、この夏は米国でも日本でも「鬱積していた欲求」が爆発するのではないか。

米国はソフトランディング成功の可能性が高い

米国の2022年第1四半期のGDPは-1.5%だが、純輸出と在庫の減少によるものであり、7割の比重を持つ消費は3.1%と堅調であり、心配はない。第2四半期以降に急拡大し、年間ではIMF見通し(4月)の3.7%近い成長となるだろう。

 

旺盛な消費者心理が健在、貯蓄が潤沢なうえ、「よい賃金上昇・格差縮小」が目立っており、消費好調持続の好材料が揃っている。

 

インフレは、まず耐久財、次いでサービス、さらに生活補填の賃金上昇という3段階で起きているので、完全な鎮静化には2~3年の時間がかかるが、いずれも長期に定着するものではない。

 

FRBはインフレ抑制を最優先するタカ派的姿勢を表明し、市場は長期金利の急騰とピークアウト、インフレ期待の急上昇とピークアウトによってそれに応えた。FRBはこれでほぼ仕事を終えたと言ってよく、これ以上の株価下落、心理の悪化はリセッションのリスクを高めるので、引き締めのトーンを弱めていくだろう。

 

サプライチェーンの混乱・エネルギー価格の上昇はそれ自体デフレ効果をもっていること、いずれもFRBの制御外にあることを市場も当局も承知している。QT(量的金融引き締め)の帰趨は未知数だが、オーバーキルの可能性はごく小さいと見てよいのではないか。

 

リーマンショック後12年で7倍になった米国株高(SP500指数)の推進力、デジタル革命によるイノベーションと企業利益増加趨勢は健在であり、長期株高トレンドはまったく損なわれてはいない。米国は世界最大の石油ガス生産国、世界最大の穀物輸出国であり、商品市況の高騰もマイナスにはならないと考える。

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

次ページこの夏場にはウクライナ方面から「朗報」も

本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録