やり手経営者だった先代社長から、豆菓子店を引き継いだ二代目社長。従来のビジネスモデルでは時代の波に乗り切れず、従業員たちと戦いながら、自社ブランド確立の道を探ります。すると、商品の評価や消費者の要望が明確に見えてきたほか、薄利多売のOEMでは不可能だった高い利益を出せることで、さらなる高みへの足場が固まりました。

消費者の声が商品を育て、収益を増やす

自社ブランド商品を売り始めて、分かったことは二つあります。

 

一つは利益率が高いということです。この時はまだ黒字化が見えるかどうかの瀬戸際でしたが、OEM商品と比べ、自社ブランド商品は、量が出なくても利益は出ます。薄利多売が当たり前だったOEMとの違いを実感しました。また、自社ブランドはファンを増やすことによって利益もさらに増やすことができます。注文者の影響を受けず、自分たちの努力で利益を増やしていけるという点で、OEMとは収益構造が大きく違うことも理解しました。

 

二つ目の発見は、消費者の生の声が非常に大事ということです。自社ブランドを作ってしばらくすると、直営店では「美味しかった」「また買いに来ました」といった声をいただくようになりました。ファンが増え、リピーターが増え、「美味しかった」と書いてあるハガキなども届くようになりました。これは作り手である工場の従業員の自信になり、「もっと美味しいものを作ろう」という意欲を高めることにつながりました。

 

それだけでも十分にうれしいのですが、リピートのお客さんと交流が深まっていくと、新たなアイデアや改善提案ももらえるようになります。例えば、あるお客さんからは「レターパックに入れて友人に贈りたい。小さな袋の商品はないか」と聞かれました。これをヒントに、小袋の商品が生まれたのです。

 

また、別のお客さんからは「合成着色料を使っていない商品はどれか」と聞かれました。この声をきっかけに、全商品で合成着色料の使用をやめて、天然の着色料にしました。

 

このような改善提案は、最終消費者であるお客さんとの接点がないOEMでは獲得できなかったでしょうし、自分たちだけで思いつくこともできませんでした。

 

商品そのものは我々が作り出しますが、世に出た商品を育てるのはお客さんです。そのことが分かったのも、自社ブランドを作った大きな成果でした。

 

この成果を踏まえて、私はさらなる拡大を考えていました。それは、本社工場に隣接する店とは別の場所での出店です。自社ブランドの売り上げは直販によって生まれます。理屈上、店が増えるほどお客さんとの接点が増え、売り上げが増え、商品の認知度も高まることになります。

 

のちにインターネットショップもスタートすることになりますが、たまたま試し販売をしてみないかと百貨店さんから声を掛けられ、2009年に丸井今井札幌本店に、翌年の2010年にはさっぽろ東急百貨店にと立て続けに直営店を出店しました。

 

この2店は、本社工場からの独立店で、直販事業と店舗運営のシステムやノウハウを積み重ねるうえで重要な拠点となりました。独立店ではスタッフが常駐し、お客さんに商品の概要や魅力を直接説明する体制としました。開店以来、私も定期的に店に出向き、お客さんや店舗スタッフと話をするようにしています。従業員との会話から改善のヒントなどをつかむ「どこでも会議室の取り組み」は店舗でも有効です。

 

池田 光司

池田食品株式会社 代表取締役社長

 

 

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