「傾聴力」は必須スキル…面接官の心得
面接のときは、「傾聴」を意識します。傾聴とは、相手が心地よく話すことができるようにするための振る舞いであり、相手の話を心から興味を持って聞き入ることが大切です。技術的には、相づちを打ち、話のテンポを合わせる、ポイントとなるところ(相手が感情を吐露した場面など)でバックトラッキング(オウム返し)の反応をすると、共感が得られたと感じやすくなります。傾聴力は面接官に不可欠なスキルなので、成書やネットで詳しく学ぶことをお勧めします。
面接で自院の魅力を伝える際は、現代の若者の価値観に合ったキーワードを使うと効果的です。「社会貢献」「使命達成」「個性尊重」などの言葉を入れて職場の魅力を語ると響きやすいのではないかと思います。面接官が実際に職場で働いて肌で感じた魅力を伝えたほうが応募者により響くことは言うまでもありません。あらかじめ数通りのストーリーを用意しておくとよいでしょう。
面接官は、観察、記録、分類、評価を意識しながら面接を行います。面接時間は通常1人当たり30分程度ですが、新規開業時はたくさんの応募者と面接する必要があるので、15~20分になることもやむを得ないかもしれません。そのため、面接の準備で、しっかりと履歴書をチェックしておく必要があります。面接の全体的な流れは図表1のようになります。
まずは導入として、あいさつを交わし、面接官から自己紹介を丁寧に行います。そして、緊張をほぐすような声かけをします。このような声かけでも愛想のよい人は微笑んでくれます。そして、ほどなく本題に入るのですが、ここでは面接官が姿勢を正し、面接の開始を宣言します。これは、結びの「以上で、面接を終了します」と対を成す前振りです。つまり、面接会場内で面接の開始と終了を自覚させることによって、面接官の前で本音や人柄を出させやすくするということです。
結びでは、応募者が語った内容について、ほめることができればベターです。たとえば、「志望動機をお聞かせいただいて、感動しました」「ご家族の介護もされているなかで、仕事に臨む姿勢は素晴らしいですね」など、きちんと傾聴している、受け止めていることを伝えると、応募者は「伝わった」と感じて、後味よく帰ることができます。