選考精度を高める質問の仕方
■「はい/いいえ」で答えられない質問で「有能さ」をチェック
面接では、第一に応募者が有能かどうかを判断します。まず、論理的思考ができるかどうかを疑問形で質問していきます。ただし、「なぜ」は強い言葉なので、「どうして」「その理由は」と表現するほうがよいでしょう。基本的にオープン・クエスチョン(「はい」「いいえ」では答えられない質問)で聞くようにします。質問内容とは別に、会話のなかで質問の意図を理解して正確に反応しているか(レスポンス)や、話すときの目線、会話のテンポなどコミュニケーション能力もチェックします。
また、目的意識があるかどうかを確認します。事前に用意してきた志望動機は取り繕った回答ができるため、聞いてもあまり参考にはなりません。それよりも、「どのような基準で仕事や職場を選んでいるのか?」「どうしてそのような基準・価値観を持つに至ったのか?」など、応募者の選択基準を問う質問をすると、論理性や頭の回転の早さがわかります。さらに、院長が目指す医療やクリニックのビジョンに対する感想・共感を聞き、真摯に向き合っているかどうかを判断します。あわせて、応募者の10年後の将来像や成長イメージなどを話してもらうと、成長意欲が垣間見えることがあります。
もう1つの注意点は、「意見」だけでなく、「事実」を聞くべきということです。「どう思っているか」よりも「何をやってきたか」を聞くと、応募者の印象に左右される度合いが減り、選考精度は高まるはずです。たとえば、「あなたが今までの職場でしてしまった一番大きな失敗は何ですか?」「それに対してどのように対処しましたか?」などの質問がよいでしょう。「昨日の夜はよく眠れましたか、普段もそうですか?」などの質問でストレス耐性を窺い知ることができます。健康状態は雇用者側の大きな関心事です。応募者の答えられる範囲で答えてもらいましょう。
そして、第一印象(出会って7秒で形成されると言われています)とその後の対話や立ち振る舞いから受ける第二印象がどう違うのかを判定します。対人業務である医療では受ける印象が非常に大切ですし、書類だけではわからない、面接官にしかできない評価です。評価時に陥りやすい落とし穴としては、図表2のようなものがあります。
■一方で「避けるべき質問」も…
一方、基本的に、仕事の適性、経験やスキルと関係のない質問は避けます。代表的なものは、本籍、家族に関すること、支持政党、宗教、思想などです。思想に関連して、愛読書や尊敬する人なども質問してはいけないようです。生活環境や住環境も聞いてはいけません。たとえば、「お住まいの部屋数は?」はNG、「在宅勤務をお願いすることがありますが、大丈夫ですか?」はOKです。詳しくは、成書やネットを参考にするとよいでしょう。