次期政権の全体像が徐々に固まりつつある
次期大統領フェルディナンド「ボンボン」マルコスジュニアは、元労働大臣ビエンベニードE.ラグスマ氏とOFWの権利擁護の専門家スーザン「トゥーツ」オプル氏を次期政権に招聘すると述べました。
ラグスマ氏は労働大臣に、オプル氏はOFWのために新しく設立された機関の長に任命される見込みです。
さらに、次期内閣への入閣候補者としては、内務省の元マニラ首都圏開発局のベンジャミン「ベンハー」アバロスジュニア氏が挙げられています。アバロス氏はマルコス氏の大統領選挙運動のマネージャーを努めた人物です。
現ドテルテ大統領の娘で、現ダバオ市長のサラ・ドテルテ氏は、教育大臣への就任が固まっています。
フィリピン財務省(DoF)は、クリーン・再生可能エネルギー源へのシフトをさらに強めるとしています。カルロス・G・ドミンゲス3世財務長官は、アセアンプラス3会合(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムのアセアン加盟国にパートナーである日本、韓国、中国が加わった会合)で、化石燃料発電からの移行を早める意向を示しました。
また、透明性と規制緩和を進め、より広範な資本を呼び込める地域金融システムを構築することを実現することに取り組んでいるとも述べました。さらには、金融のデジタル化について、革新的なテクノロジーに関する情報交換の強化とデジタル経済の拡大をサポートしていくとも述べました。
フィリピン、経済回復の勢いは増している
英スタンダードチャータード銀行のエコノミストによると、フィリピン経済は、第1四半期の好調な景気拡大を背景に、フィリピンの国内総生産(GDP)の成長予測を2022年には以前の7.5%から8%に引き上げました。
業界別では、16の業界のうち11が前四半期から拡大しており、全体経済の72%がCOVID以前のレベルを上回っていると推定しています。第1四半期のGDP成長は、フィリピンの景気回復が勢いを増しているということを裏付けています。
フィリピンのGDPは、第1四半期に予想より大きな8.3%拡大しました。これは、前年の3.8%のマイナス成長からの大幅回復です。また、2021年第4四半期の7.8%成長をも上回りました。
また、スタンダードチャータード銀行は、今年のフィリピンのインフレ予測を、石油、電気、食料価格の上昇により、これまでの予想を上回る3.6%から4.5%に引き上げました。
中国が厳しいゼロコロナ政策を実施していることとロシア・ウクライナ戦争の長期化により、サプライサイドの混乱が年間を通じて持続し、商品価格が上昇し続ける可能性があるとしています。
さらに、力強い景気回復と労働市場の状況の改善は、今後数ヵ月のインフレ圧力の拡大につながる可能性があるとも述べています。
インフレ率は4月に4.9%の3年間の最高値に急上昇し、フィリピン中央銀行・Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP)によって設定された2〜4%のインフレターゲットを上回りました。
エコノミストは、5月19日のBSP会合から、金利を150ベーシスポイント(bps)引き上げる可能性があると述べています。
また、BSPによる金融政策の正常化はより早く始まり、より速いペースで進む可能性も予想していて、5月から12月にかけて、それぞれ25bpsの6回連続政策金利引き上げ、2022年末までに政策金利が3.5%に引き上がることも予想しています。
さらにインフレ率が6%レベルに達した場合、次の中央銀行会議で50bpsの利上げの可能もあることを示唆しました。
BSP総裁のベンジャミンE.ディオクノ氏は以前、6月の利上げを検討する可能性があると述べ、インフレリスクがより蔓延した場合、より先制的に対応する準備ができていると語っています。
Business World紙の調査に参加した17人のアナリストのうち8人は、第1四半期の成長率が高いことから、中央銀行が5月の会合で金利の引き上げを開始すると予想しています。