18日の香港市場は4日続伸し、2週間ぶりの高値
ハンセン指数 20,644.28pt(+0.20%)
中国本土株指数 7,089.29pt(+0.18%)
レッドチップ指数 3,869.34pt(+1.25%)
売買代金 1,126億8百万HK$(前日1,241億4百万HK$)
18日の香港市場は4日続伸し、2週間ぶりの高値をつけた。世界的なエネルギー価格の高騰に関連して、中国政府が火力発電事業を支援する姿勢を示したことから電力株が好調だった。華能國際電力(0902)7.8%、華能電力(0836)は8.3%上昇した。
政策関連では、自動車メーカー株が上昇した。6月上旬に15万元以下の車の購入に補助金を支給するなど、農村部での自動車販売を促進する政策が導入されるとの見通しが伝えられた。中通客車(000957.SZ)、長城汽車(01633.SH)、亞星客車(600213.SH)が上昇した。
一方、前日まで規制緩和策への期待から上昇していた中国ハイテク株の反騰は一服が見られた。アリババ(9988)、テンセント(700)、美団(3690)、京東集団(9618)は反落した。前日に決算を発表した京東集団は、22年1~3月期決算に最終損益が29億元(約550億円)の赤字に転落したことが嫌気された。本日引け後に決算を控えるテンセントも小幅下落した。
中国本土の株式市場も小幅安となり、上海総合指数は前日比0.25%安となった。上海総合指数は一ヶ月ぶりに高値水準にあることから、利食い売りに押された。上海市でロックダウン措置の緩和が見込まれると報じられたが、北京などでの新型コロナウィルスの件数が引き続き懸念され上値を抑えた。
17日、北京では新たに60人の新規感染者を発表(前日は52人)、中国全体でも1,227人(無症状者数1,000人)の感染者が新たに発症し、行動制限の強化が警戒される状況が続くだろう。
中国経済の先行きは不透明「中国不動産価格の軟調さ」
18日、中国国家統計局が発表した新築不動産価格(4月・主要70都市)は、前年比0.7%上昇、前月比ベースでは0.2%下落だった。前月比ベースで昨年12月以来のマイナス成長、前年比ベースでは2015年10月以来の低調ぶりだった。70都市の住宅価格については18の都市が前月から上昇(前月29の都市)したが、47の都市が前月から減少した(前月38の都市)。
中国当局は不動産市場の下支え対策を相次いで打ち出しているが、小出しの感は否めない。上海をはじめ一部の都市でロックダウンが続き、北京では不動産デベロッパーの過剰な借入を引き締めたことも減速に繋がったのだろう。
中古住宅価格についても70のうち50の都市が前月から減少(前月45の都市)となった。GDPの25%を占める不動産市場の停滞は、中国経済の先行き見通しを不透明にしている。
不動産会社では、中国・江蘇省の大手不動産会社である佳源國際Jiayuan International(2768)が18日の取引で、一時40%以上の急落し0.58香港ドルまで下げたあと取引が停止された。同社の不動産管理会社の佳源服务Jiayuan Service(01153)も同様に中国市場で70%の下落した。
5月10日に、ムーディーズはJiayuan International Group Limited(2768)の格付けを「B2」から「B3」に格下げしている。流動性に苦しむ不動産会社株の不安定感はセクターのみならず、市場全体の重しになっている。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>