19日は香港市場は5日ぶりに反落、中国市場は反発
ハンセン指数 20,120.68 pt (▲2.54%)
中国本土株指数 6,899.19 pt (▲2.68%)
レッドチップ指数 3,836.10 pt (▲0.68%)
売買代金 1,211億1百万HK$(前日1,126億8百万HK$)
19日の香港市場は、朝方前日の米国株式相場の大幅安を受けて下落し、ハンセン指数は一時20,000ptを割りこんだ。特に、米国市場でハイテク銘柄が下げたことも影響し、ハンセンテック指数は他指数をアンダーパフォームする下げとなり前日比3.98%安、一時は同5%安水準まで売られた。
前日に決算を発表したテンセント(700)は前日比6.51%安で取引を終えた。2022年1~3月期決算は純利益が前年同期比51%減少し、10四半期ぶりに減益、増収率は0.1%増加にとどまって同社の業績では上場来最低を記録した。その他、アリババ(9988)が前日比7%強の下落、パソコン大手のレノボ(992)やスマートフォンのシャオミ(1810)なども同5%近く売られた。
ゼロコロナ政策により北京は行動制限強化。上海は緩和
中国国内では、18日も首都北京市で55人(前日60人)の感染者が報告された。北京に隣接する天津市では、行動制限が強化された。前日の中国の新たな感染者数は1,016人(前日1,227人)と足元の感染者は高止まりが続いている。
ゼロコロナ政策を堅持する中国では、中国国内で行動制限規制が継続されており、市場での警戒感は拭えない。このため、本日も中国株式相場は安く始まった。しかし、上海市がロックダウンを緩和する見通しを示すと、景気回復の流れが強まるとの読みから、午後には、前場の下げを押し返した。
中国乗用車協会(CPCA)は本日、5月1─15日の乗用車販売台数を公表し、前月同期比27%と相対的に好調だった。これを受けて自動車メーカーとバッテリーメーカーが上昇した。
その他の材料では、スタンダードチャータード銀行 (2888)が、今年の中国のGDP成長率に対するレポートを発表した。それによると、2022年の中国の経済成長予測は、4月の景気後退と5月の減速を反映して前回予想時(先月)の年5.0%から年4.1%の成長に見通しを引き下げられた。
同行は4月に、中国の経済成長予測を5.3%から5%に引き下げたばかりである。今年2回目の予測引き下げとなったが、4月と5月初旬に厳しい封鎖措置を続けて経済を開放しなかった中国の失敗との見方を示した。
前日、中国・江蘇省の大手不動産会社である佳源國際 JiayuanInternational(2768)の取引が一時停止されたが、19日には、四川省にある不動産開発会社の領地控股(06999) が急落、前日比83.82%安となった。同社の事業は成都-重慶経済ベルトと四川省に集中しており、売上高の約76.6%を占めてる。
同社の株価急落の背後には、会社の業績の低下、キャッシュフローへの圧力、そして債務返済圧力の倍増が考えられる。昨日の佳源國際(2768)同様、領地控股はフィッチ、ムーディーズの格付けを今年停止しており、不動産株の急落が連日目立っている。不動産株には厳しい目が向けられている。領悅服務集團(2165)も59.5%安となった。
18日の米国株の動きからすれば、19日の香港/中国の銘柄の動きは、いくぶん堅調に見える。調整の長かった中国市場と米国市場では、経済のステージも異なりの連動性は薄れつつあるようである。ただ、米株の調整は深くなることを予想しており、まだ楽観は禁物と考えている。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>