今回は、10年債の利回りが初めてマイナス圏に入ったドイツ国債の動きから分かる、ドイツという国の信頼性について見ていきます。

投資家の信頼を得る要因は「経済力と財政黒字の維持

実質的に“損”をすることがほぼ確実な債券を購入する。これは世間一般の常識に反するように見えないでしょうか? ですが、ドイツの10年国債を買う投資家が行っているのは、まさにこれに該当します。

 

ドイツ10年国債の利回りは、2ヶ月前にゼロを割り込みました。しかし、先月中旬に発行されたドイツ10年国債発行額は、40億3800万ユーロに対し、47億8300万ユーロの応札がありました。つまり、投資家達は自分達の資産を守るために、ドイツへお金を支払っているという図式になります。

 

ドイツ長期国債として金利がマイナスになる動きには、十分な理由があります。それは、ドイツ政府の財政黒字や健全な状態を維持している経済に加えて、これまで長年、国としての責務を果たしてきた実績です。

 

2016年6月14日正午時点で、ドイツ10年債の利回りはマイナス0.03%まで下がりました。投資家は、利回りとリスクの双方を検討し、そのバランスが取れるポイントを見つけて投資するのが典型的です。利回りの大きい投資は通常、リスクも伴いますが、リスクの低い投資は、利回りも抑えられているのが普通です。

 

すなわち、マイナス金利の債券を購入することは、その投資先が持つ「安全性」かつ「信頼性」に対し、投資家が極めて好印象を持っていることに他なりません。これが当てはまる好例が、現在のドイツ長期国債なのです。

 

国債償還までの期間が長ければ長いほど、その国の経済が長期に渡って示す安定性や競争力、また、信頼性に対する投資家の期待も大きくなります。そのため、マイナス金利の5年債購入に比べ、マイナス金利の10年債を購入する動きは、より注目に値するということが分かるでしょう。

 

今後も大きな発展が確実視されるドイツ経済

ドイツの経済力や国として財政黒字を達成し続ける堅実性が、国債の世界での常識を覆しています。投資家は、ドイツ政府にお金を貸すという特権を国債という形で購入していると言えるでしょう。

 

ドイツの10年債以外には、スイスと日本もその10年債がマイナス圏に入っています。ちなみに、ドイツの5年債は昨年、利回りがマイナスとなりました。

 

ドイツ中央銀行によると、2015年2月、2020年4月に満期を迎えるドイツ5年債が32億8000万ユーロ購入されたことで、その際の平均利回りはマイナス0.08%で取引が行われました。

 

上記にも述べましたが、その国の経済がどの程度信頼が置けるもので、安定性と競争力はどうか、という投資家の期待度は、国債が満期を迎えるまでの期間の長さに反映されます。そのため、マイナス利回りに転じたドイツ10年国債が享受する現在の人気は、ドイツという国に対する信頼度を測るという意味でとても重要です。

 

マイナス利回りでお金を借りる。このことで、ドイツ政府は債務を利益に転換しています。2016年前半、マイナス利回りによるドイツの利益は15億ユーロにのぼっています。

 

ドイツ経済が極めて高い信頼度を得ている今、スタートアップ企業や各種テクノロジー分野、そしてまた不動産産業も、今後引続き大きな発展が確実視されています。

 

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