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4人のグローバルな女性リーダーが示した行動
循環型ビジネスでは、視点が違う。あるシステムから生み出されるアウトプットは、別のシステムのインプットになる。
・賃金……公正・公平であり、従業員が安心感と充足感を持ち、実りある生活を送ることができ、地域社会への貢献や投資が可能になる水準であること
・製造工程……事業拠点となっている地域社会に対して最終的に経済面・環境面でメリットをもたらすこと
・原材料……安全で非毒性の天然由来であることに加え、食物源またはエネルギー源として将来使えるように環境に戻すことができること
・製品……リユース(再使用)、再販売、修理、リサイクルが可能で、有用な期間が劇的に長くなること
ただし、こうした取り組みをすべて実現するには、新しいリーダー像が求められる。
■パンデミック後の「H・E・R・O」に求められる4つの条件
2020年5月15日、『ニューヨークタイムズ』紙に「女性リーダーの国が新型コロナウイルスとの戦いに強いのはなぜか」と題する記事が掲載された。パンデミックで世界が混乱に陥っていた初期段階に、感染の抑え込みにずば抜けて良好な成果を上げた国がいくつかある。そうした国々のリーダーはいずれも女性だった。
台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統をはじめ、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フィンランドの35歳のサンナ・マリン首相である。ここからはっきりと言えることがあるとすれば、女性リーダーのほうが男性リーダーよりも危機的状況で有能ということだろう。なるほどそうかもしれない。
だが、私が特に興味を惹かれたのは、もう少し違う部分にある。パンデミックに揺れるビジネスの世界で、性別を問わず模範的なリーダーシップとはどういうものなのか、吟味してみると、この4人のグローバルな女性リーダーが示した行動や資質と見事に重なるのである。この行動や資質こそ、新しい時代のビジネスに不可欠なスキルと考えられる。
①謙虚さ(Humility)
明日を担うリーダーは謙虚で、不確実性を潔く認める。また、そう認めることで、弱さを正面から受け止めている。リーダーは本質的に自らのやり方に好奇心を持って取り組んでいる。だから大家ぶることもなく、自分が率いる組織が正解にたどりつけるような質問を見極めることに長けている。成功も失敗も同じように大切に扱い、どちらの場合でもその過程で組織が何を学び取れたのかに着目する。
②共感力(Empathy)
明日のリーダーは、他者が置かれている社会的・経済的な状況に敏感である。スタッフと顧客のどちらに対しても、その人の身になって寄り添える機会を重視している。とても熱心な聞き上手で、パートナーや顧客、スタッフの不安解消に積極的に取り組む。あらゆるステークホルダー(利害関係者)の利益と感情のバランスをとるために、公平・公正を追求する。
③立ち直りの早さ(Resilience)
元来、意欲にあふれ、障害や課題にぶつかっても立ち直りが早い。生まれつき、新しい手法やシステム、手順を積極的に試す姿勢がある。普通なら失敗プロジェクトと判断されるような場面でも、こうしたリーダーは、実験としてうまくいった部分に目を向ける。ピンチをチャンスと捉え、変化はプラスのエネルギーと捉えて取り込む。
④寛大さ(Openness)
専門家の意見や情報にしっかりと耳を傾けつつ、組織全体の幅広い声を見失わない。他者の見解をしっかりと受け入れる一方、自分の意見に対する異議や自分の行動に対する批判を積極的に受け止める。とりわけ危機的な状況下で、組織力の中核として多様性を重んじ、複数の視点や経験を生かすことができる。
私は、謙虚さ(Humility)、共感力(Empathy)、立ち直りの早さ(Resilience)、寛容さ(Openness)のそれぞれの英語の頭文字を取って、「H・E・R・Oリーダーシップ」と呼んでいる。そして、今こそ、あなたが「H・E・R・O=ヒーロー」をめざすべきなのだ。