疫病の蔓延や世界情勢の悪化……不安定な世の中において、私たちはどのように生きていくべきしょうか。京セラ株式会社をはじめ、KDDI、JALと3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏は、数々の著作や講演で多くの人に勇気を与え、背中を押してきました。今回は、そんな稲盛氏がすべてのビジネスマンにおくった「366の箴言」より、6月13日〜6月19日の言葉を紹介します。

13日…成功という試練

私は、「試練」とは、一般的にいわれる苦難のことだけを指すのではないと考えています。人間にとって、成功さえも試練なのです。

 

成功した結果、地位に驕り、名声に酔い、財におぼれ、努力を怠るようになっていくのか、それとも成功を糧に、さらに気高い目標を掲げ、謙虚に努力を重ねていくのかによって、その後の人生は、天と地ほどに変わってしまうのです。つまり、天は成功という「試練」を人に与えることによって、その人を試しているのです。

14日…苦難と僥倖

私たちは、苦難あるいは僥倖、そのいずれの「試練」に遭遇しても、決して自らを見失わないようにしなければなりません。つまり、苦難に対しては真正面から立ち向かい、さらに精進を積む。また成功に対しては謙虚にして驕らず、さらに真摯に努力を重ねる。そのように日々たゆまぬ研鑽に励むことによってのみ、人間は大きく成長していくことができるのです。

15日…哲学を求める

才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。その指針となるものが、理念や思想であり、また哲学なのです。そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、いくら才に恵まれていても「才あって徳なし」、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまいます。

16日…哲学とともに生きる

原理原則に基づいた哲学をしっかりと定めて、それに沿って生きることは、物事を成功へと導き、人生に大きな実りをもたらす。しかし、それは決しておもしろおかしい楽な道ではない。哲学に準じて生きるということは、おのれを律し、縛っていくということであり、むしろ苦しみを伴うことが多い。ときには「損をする」こともある苦難の道を行くことでもある。

 

ただ長い目で見れば、確固たる哲学に基づいて起こした行動は、決して損にはならないものだ。

 

次ページ6月17日〜19日の箴言…「謙」の重要性

本記事は、稲盛和夫氏の著書『稲盛和夫一日一言』(致知出版社)より一部を抜粋したものです。

稲盛和夫一日一言 運命を高める言葉

稲盛和夫一日一言 運命を高める言葉

稲盛 和夫

致知出版社

京セラ、KDDI、JALという3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏。その稲盛氏による待望の語録集が、一日一言(いちげん)として誕生しました。 「全身全霊を込め、あたかも魂をほとばしらせるがごとく話すことを…

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