疫病の蔓延や世界情勢の悪化……不安定な世の中において、私たちはどのように生きていくべきしょうか。京セラ株式会社をはじめ、KDDI、JALと3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏は、数々の著作や講演で多くの人に勇気を与え、背中を押してきました。今回は、そんな稲盛氏がすべてのビジネスマンにおくった「366の箴言」より、6月6日〜6月12日の言葉を紹介します。

6日…いい仕事をする条件

二つには、「理屈より経験を大切にすること」。ものづくりでは、教科書を読むと、こうやればいいと書いてあります。理論的にはそのとおりなのですが、実際にはそう簡単ではありません。現場で実際に手を汚し、試行錯誤を繰り返してみないと分からないことのほうが多いもので、理論と経験則がかみ合ってこそ、素晴らしい技術開発が可能になるのです。

7日…いい仕事をする条件②

そして三つ目は、「地道な作業を続けていくことを厭わないこと」。仕事は、日々、継続してこそ進歩があります。地味な仕事を、日々続けていく中でこそ、確かな技術と経験が蓄積されていくのです。そのような地味な努力を厭わず、「継続する力」がない限り、優れたものづくり、自他ともに満足するような仕事は不可能と言っていいでしょう。

8日…好きなればこそ

京セラをつくってからというもの、私は朝早くから夜遅くまでずっと仕事に打ち込んできました。近所の人から「おたくのご主人は一体何時に帰ってこられるのですか」と呆れられたり、田舎の両親からも「そんなに働いたのでは身体を壊してしまう」と頻繁に心配する手紙が届きました。はたから見ればたいへんに思えるのでしょうが、本人は好きでやっているのですからつらくもないし、疲れもそれほど感じないのです。

9日…好きこそものの上手なれ

「好き」こそが最大のモチベーションであり、ひいては成功への道筋になる。好きであれば、自然に意欲も湧くし努力もするので、最短距離で上達していく。人から見ればたいへんな苦労も、本人には苦どころか、楽しみとなる。

10日…自分に打ち勝つ

ガリ勉を非難してはならない。ガリ勉とは遊びに興じたり、テレビを見たりという、目先の快楽を求めようとする自分自身に打ち勝つことだ。遊びたい気持ちを抑えて、懸命に勉強に励んだに違いない。そのような自分自身に打ち勝つ強さが、人生という長い旅路で成功するためには必要なのだ。

11日…試練は人生の分岐点

私は、人間的成長には「試練」が不可欠だと考えている。「試練」に直面したときに、打ち負かされてしまうのか、妥協してしまうのか。それとも、「試練」に対峙し、苦難を克服しようと、さらに努力を重ねることができるのか。ここに人生の分岐点がある。

12日…試練は幸福をもたらす

試練を、絶好の成長の機会としてとらえることができる人、さらには、人生とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場であると考えられる人──。そういう人こそが、限りある人生を、豊かで実り多いものとし、周囲にも素晴らしい幸福をもたらすことができるのです。

 

 

稲盛 和夫

京セラ株式会社

名誉会長
 

本記事は、稲盛和夫氏の著書『稲盛和夫一日一言』(致知出版社)より一部を抜粋したものです。

稲盛和夫一日一言 運命を高める言葉

稲盛和夫一日一言 運命を高める言葉

稲盛 和夫

致知出版社

京セラ、KDDI、JALという3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏。その稲盛氏による待望の語録集が、一日一言(いちげん)として誕生しました。 「全身全霊を込め、あたかも魂をほとばしらせるがごとく話すことを…

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