(※画像はイメージです/PIXTA)

もし部下が指示に従わないと思ったら、まずは自分の指示の出し方を振り返ってみてください。部下に分かる形で指示を出せていなかったり、指示の目的や意図を汲み取れていない部下が、思った以上に多い可能性があります。産業医の井上智介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

部下は「上から目線」に非常に敏感

▶アドバイスや指導をすると不機嫌になる

今の若い世代は、「上から目線」ということに非常に敏感です。

 

アドバイスや指導をするとあからさまにぶすっとしたり、「マウントをとられた」と反抗的な態度をとるのも、あなたの指導を「上から目線」だと思っているからこその反応です。

 

私は、これには学校教育が大きくかかわっていると考えています。

 

今の学校の先生たちは、学生たちを厳しく叱れない立場です。

 

少し厳しくしようものなら親から苦情が入り、学生からは「教育委員会に通報する」と言われることも。そのような状況では厳しい指導などできないため、目上の人に厳しく叱られた経験がない若い世代が増えているのです。

 

今の若い人たちは、学校で「先生に教わる」のではなく、先生たちは「お金をもらって教えている人」、自分たち生徒は「お金を払って学んでいる人」という意識を持っています。

 

たしかに人としては対等ですが、この意識のまま社会に出るので、会社での社会的な上下関係を理解できないのです。これも時代の流れなのかもしれませんね。

 

そのような部下に対して上司が、「これが社会人というものだ」と、これまで通りの指導を行っても、部下は納得できません。熱心に指導したつもりが、部下は、「マウントとってきた」「偉そうなやつ」と感じてしまうのです。

 

このような部下に対処するには、指導の前に一旦寄りそう姿勢を見せるといいでしょう。ミスをした時、最初から「このやり方はダメだな」と言い切ってしまうのではなく、次のようなクッション言葉を挟んでみてください。

 

「みんな最初はやりがちだけど……」
「自分も昔同じことをしたことがあるけど……」

 

部下の言動を真正面から否定するのではなく、部下の考えや行動を受け止めて、その後に自分の意見や考えを伝えるのです。

 

そんな態度では、部下になめられそうだという方は、「失敗したら、上司の自分が責任を持つから」と日頃から部下に伝えておきましょう。

 

厳しさや威厳を示すことだけが、リーダーシップではないはずです。

 

やんわりと上下関係を意識させながらアドバイスや指導をすることで、部下もまた違った受け止め方ができるようになっていきます。

 

大変な時代になりましたが、このような部下と真っ向から対立するのは時代の流れに逆らうようなもの。意識を変えてうまく時代の流れに乗っていきましょう。

 

次ページ「失敗した原因」を部下に考えさせる

※本連載は井上基介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

井上 智介

日本能率協会マネジメントセンター

「仕事の悩みは人間関係が8割」だといいます。 職場ではさまざまな人と関わる必要があり、仕事の関係上、自分が人間関係を選ぶことも難しい。自分に都合の悪いことは無視する上司、融通がきかない部下、承認欲求が強く、自己…

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