相続ではどのような行為が不当利得となるか
不当利得とは、法律上の正当な理由がなく利益を得て、本来その利益を得るはずだった人に損害を与えることをさします。
相続では、ある特定の相続人が他の相続人に無断で故人の遺産を使い込んでしまうことが不当利得となります。
故人の遺産は死亡と同時に相続人全員の共有状態になり、相続人どうしで分け合うまで勝手に処分することはできません。
この決まりを無視して故人の遺産を勝手に処分すると、法律上の理由がなく利益を得て、本来遺産がもらえるはずの他の相続人に損害を与えることになります。
相続で起こりうる不当利得には次のようなものがあります。
◎故人の現金を使い込む
故人が自宅で保管していた現金を他の相続人に無断で使い込んだ場合は、不当利得となります。死亡後に使い込むだけでなく、生前から徐々に使い込んでいるケースもあります。
◎預金を勝手に引き出す
他の相続人に無断で故人の預金を引き出した場合も不当利得となります。現金の場合と同様に、生前から徐々に引き出しているケースもあります。
◎賃料を勝手に受け取る
故人がアパートや駐車場など賃貸不動産を保有していた場合は、定期的に賃料収入が得られます。その賃料を、他の相続人に無断で受け取った場合も不当利得となります。
このほか、故人の不動産や株式を勝手に売却したり、故人が他の人にかけていた生命保険を解約したりした場合も不当利得となります。
ただし、これらの行為が必ず不当利得になるわけではありません。あらかじめ故人と約束していたことも考えられるため、事実関係を冷静に確認することが大切です。