保健師に求められる各分野のスペシャリスト
新型コロナウイルス感染者の急増で、その激務に注目が集まった保健師だったが、実際に保健師はどこで働いているのだろうか。
「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(厚生労働省)によると、2020(令和2)年末時点で就業保健師は5万5595人(男性1598人、女性5万3997人、女性比率97.1%)で、前回(2018年)に比べ2640人増加している。
保健師に女性が多いのは、看護師と同じように、女性の職業とされていた時代が長かったためで、1993年の法改正で男性も保健師として就業できるようになったが、その数はまだまだ少ないのが現状のようだ。
就業場所をみると、「市区町村」が3万450人(54.8%)と最も多くなっている。次いで保健所の8523人(15.3%)、事業所(一般企業)3789人(6.8%)、病院3559人(6.4%)、診療所2301人(4.1%)と続く。
市区町村、都道府県、またはそれらの自治体が管轄する保健センターや保健所で働く保健師を行政保健師と呼ぶ。行政保健師は、乳幼児から高齢者まであらゆる世代の人を対象に地域住民の健康づくりを支援している。
都道府県別に人口10万人当たりの保健師数をみると、長野県が82.6人と最も多く、次いで高知県80.7人、山梨県80.2人となっている。一方、神奈川県が26.9人と最も少なく、次いで大阪府27.7人、埼玉県30.7人、東京都31.8人となている。人口が少ない地方で保健師比率は高く、人口の多い首都圏で低いという傾向がある。
気になる保健師の給料はどうか。
「令和3年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によると、保健師の平均月収は32.3万円、年間ボーナスが92.0万円、年収480.6万円。男性は平均月収34.3万円、年間ボーナス83.0万円、年収494.7万円。女性は月収32.2万円、年間ボーナス92.7万円、年収479.6万円だった。
現在、行政や病院、企業、学校、そして介護と、保健師の活躍が期待される分野は多岐にわたる。しかも少子高齢化が進むにつれ社会構造が複雑化し、保健師が対処する問題も多様化している現状では、さらに保健師の扱う業務の細分化が進むことが予想されている。
今後は、各分野のスペシャリストを育成することが保健師にも求められる時代になっていくこと予想され、保健師の役割は重要になってくる。
GGO編集部
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