(※写真はイメージです/PIXTA)

ゼロ金利のときに「量的緩和」をしても、世の中に出回る資金は増やせません。つまり、株価を上昇させる原動力になりません。しかし、アベノミクス初期には、ゼロ金利時の量的緩和を背景に株価が上昇。じつはこの現象から、株式投資の本質的な部分が見て取れます。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

一方、長期投資は「美人投票ではない」点に要注意

以上、株価が美人投票であるといわれる理由を説明して来ましたが、これは短期投資の場合であって、長期投資の場合には当てはまらないので、注意が必要です。

 

10年持っているつもりで株を買うならば、ほかの投資家が何を考えているかを知ることよりも、その会社が10年後も利益を稼ぎ続けているか否かを真剣に考えたほうが、はるかに利益に繋がりやすいからです。

 

「人の噂も七十五日」ですから、75日以上持っているつもりで株を買うなら、投資家の間の噂話に耳を傾けることなく、真実を探求すべきだ、ということですね。

 

もっとも、金融政策には要注意です。「金融緩和は株高要因だ」というのは多くの投資家が信じ切っていますから、75日で消えるようなものではありません。金融が緩和されるたびに株価が上がるので、さらに多くの投資家が「やはり金融緩和は株高要因だ」と考えるようになり、金融が緩和されるたびに人々の信念が強化されていくわけです。

 

そして、金融の緩和自体が何年も続く場合も少なくありません。日銀の緩和など、10年以上続いています。したがって、長期投資といっても、金融政策がどうなるかを予想することは絶対に必要だといえるでしょう。

 

「金融が10年後も続いているのか」という真実を追求することが利益につながる、ということですね。それを予想するのは10年後の企業の利益を予想するよりはるかに難しいでしょうが(笑)。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解です。また、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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