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株式の短期投資と長期投資では、基本的な発想が違う
株式投資というのは「株を買って、売る」という行為ですが、人によって目指しているものが異なります。もっとも大きな違いは、企業の価値が変動するような長期を投資期間と考えるか否かです。
今日買って明日売って儲けよう、と考えているのであれば、それは短期投資であって、狙っているのは価格の変化です。企業の価値は変化しないのに株の値段が変化する、ということは決して珍しいことではないので、それによる利益を狙うことは十分可能です。
もっとも、短期的に株価が上がるか下がるかを予想するのは極めて困難なので、カジノのルーレットと同じくらいバクチの要素が強いと言えそうです。カジノとの違いは参加者がカジノより臆病(慎重?)なので、カジノよりは期待値が高い(儲かる確率が高い)といったところでしょう。
一方、企業が生み出した価値の分け前にあずかろう、というのが長期投資です。企業は株主と銀行から資金を集め、労働者を雇い、材料を仕入れて物(財およびサービス、以下同様)を作ります。
売値と材料の仕入れ値の差が、企業が生み出した価値(付加価値と呼びます)であり、銀行への金利支払い、株主への配当、労働者への賃金支払いという形で分配され、残りは企業に内部留保されます。
配当は株主の受け取る分け前ですし、内部留保も後述のように株価上昇要因として株主が受け取る分け前だと考えていいでしょう。こうして、株式への長期投資は企業が生み出す価値の分け前にあずかろうとする行為なのです。結果として企業が赤字になったり株価が下落したりする可能性はありますが。