写真:PIXTA

内需拡大、顕著な経済成長を遂げているフィリピン。そのようななか、注目すべきはインフラ企業です。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏は、外資規制緩和、コロナ禍からの回復など、さまざまな要因がプラス材料になっているといいます。注目すべき「フィリピン・インフラ企業」について、最新の動向をみていきましょう。

行動制限大幅緩和で、電力需要も増加

◆MANILA Electric Co.(MER)/電力販売

4月25日(月)、MANILA Electric Co.(MER)は電力販売の増加により、第1四半期の連結コア純利益が10%増加して56.2億ペソとなったことを報告しました。2022年第一四半期の総収入は33%増の859.1億ペソでした。

 

コロナによる行動制限の大幅緩和により、経済活動が増加し、産業界の需要が6%増加。特に、不動産、教育部門、小売業、飲食業のフルオペレーションによるものが大きいと同社のCFOは述べています。

 

世界的な燃料価格の高騰がパススルー料金の急騰を引き起こし、同社の電力収入は624.8億ペソから33%増加して832.7億ペソに。同社は、フィリピン経済に対する地政学リスクを緩和するために、政府機関、規制当局、およびそのサプライヤーと緊密に協力しています。

 

エネルギーコストの上昇など課題はあるものの、経済のさらなる再開に準じて、年間を通じて、同社は業績を維持できると確信していると言っています。2022年第一四半期に、同社の1株当たりのコア利益は10%増加して4.99ペソとなりました。

 

一方、平均電力料金は14%上昇して1キロワット時(kWh)あたり8.88ペソになりました。これは、発電料金と送電料金がそれぞれ21%と9%上昇したことに起因します。

 

電力料金の値上げは、エネルギー規制委員会による払い戻し、一部相殺されました。一般住宅への売上は全体の35%を占め、商業部門への売電と産業部門への売電はそれぞれ34%と31%のシェアを占めています。

 

この第一四半期中、同社は60億ペソの設備投資の70%を、新しいネットワーク接続、資産の更新、政府のBuild、Build、Buildプログラムに費やしています。選挙期間中の電力需要の増加を見越して、配電網全体で検査と保守活動も実施しました。

 

Meralcoの社長兼最高経営責任者であるRay C.Espinosa氏は、同社の電気料金に対するリスクは、燃料価格の大幅な上昇と、マランパヤ天然ガス田からの持続的な供給制限であると述べています。

 

◆SM PRIME Holdings、Inc.(SMPH)/統合不動産開発

4月25日(月)、SM PRIME Holdings、Inc.(SMPH)は、2022年の設備支出予算として800億ペソを割り当て、そのうち20%を土地取得に、残りの80%は、ョッピングモール、住宅、オフィスの開発に充当すると述べました。同社は、今後の事業展開に対して、年末までにパンデミック前のレベルに到達できなくても、2022年の見通しについては楽観的であり、下半期に入ると、状況はかなり良くなるとの見通しを示しています。

 

また、同社は1株あたり0.097ペソ、2021年の純利益の15%の通常配当を、2022年5月11日現在の株主に対して、2022年5月24日に支払うと発表しました。2021年、同社は連結純利益が180.1億ペソから217.9億ペソに21%増加し、連結売上高は819億ペソから833.2億ペソに増加しました。

 

売上の内訳は、住宅事業部門が56%の495億ペソ。マニラ、ラスピニャス、パサイ、パラニャーケ、ブラカン、ラグナ、イロイロなど主要エリアでの拡張に取り組んでいます。

 

また、マニラ首都圏での移動制限の緩和に伴い、ショッピングモール SM City Daet in Camarines Norteをオープンし、フィリピンで最初のIKEAストアをテナントとして誘致。カローカンにSMシティグランドセントラルもオープンしました。

 

SMプライムは、2030年までに国のエネルギーミックスの再生可能エネルギー率を35%に拡大するというエネルギー省の目標を支援するために、再生可能エネルギープログラムに着手。2022年末までに、さまざまな事業セグメントで電力消費に占める再生可能エネルギーの割合を最大50%まで増やす計画であることを発表しています。

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