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フィリピン「格付維持」も、原油高の影響が懸念される
フィリピン経済は、コロナの影響にもかかわらず、2021年の第2四半期以降、堅調な経済回復・成長を示していると日本格付研究所(R&I)は述べました。フィリピン経済は2021年に5.7%成長し、2020年の記録的な9.6%のマイナス成長から回復し、今年2022年は、7〜9%の成長を目指しています。
原油価格の高騰は、短期的なリスク要因と考えられますが、フィリピン中央銀行(BSP)の下半期に向けた利上げなどの金融政策が注目されています。
BSPは、ロシアのウクライナ侵攻が、石油と商品価格に与えた影響を理由に、年間のインフレ予測を4.3%に引き上げました。3月には、すでに4%に急上昇しました。これは、今年のBSPのインフレターゲット2〜4%の上限に達しています。中央銀行は、経済がパンデミック前のレベルに戻ると予想される年の後半までに、利上げの必要性を評価すると述べています。
政府の債務比率は、国の景気回復と並行して安定してくるとR&Iは見ています。国のGDPに対する債務の比率は2021年に60.5%と過去16年間で最高に達しました。これは、発展途上国にとってのマネージャブルな債務比率と言われる60%をわずかに上回っています。
一方、対外債務の対GDP比は、2021年には前年の27.2%から27%に減少しました。
また、ロシア・ウクライナ戦争により石油価格が高騰したため、格付け機関は今年、フィリピンの経常収支赤字が拡大すると予想しています。しかし、海外で働くフィリピン人(OFW)からの国内への送金と海外からの直接投資(FDI)に支えられて、リスクは限定的と考えられています。
経常赤字は2022年163億ドルに拡大すると予想されており、これは中央銀行の予測に基づく国内総生産(GDP)の3.8%に相当します。これは2021年の69億2200万ドルの経常赤字を大きく上回ります。
インフラ投資に起因する政府支出の増加は、将来の経済成長につながることを考えると、R&Iは経常収支赤字について、否定的な見方をしていません。外貨準備高は対外債務を上回っており、対外負債は対外資産を若干上回っていますが、R&Iは、対外債務に関連するリスクは限定的であると述べています。
フィリピンの財政赤字は2021年に22%増加して1.7兆ペソになりました。これは、GDP比では、2020年の7.65%から8.61%に上昇しました。2022年の財政赤字の上限はGDP比7.7%の1.65兆ペソに設定されています。
R&Iは5月9日に実施される大統領選挙後の新政権の政策、特に国内および外部の両方からの投資を誘致するために不可欠である主要なインフラプロジェクトと経済の構造改革の継続に目を光らせていると述べています。
また、フィリピンの一人当たりGDPが着実に増加する中、フィリピンは最終的に中所得国の上位国になるという目標を達成することが期待されているとの見解を示しました。しかし、国際通貨基金(IMF)によると、同国の一人当たりGDPは東南アジアの同レベルの国々と比較して依然として低いとの予測を引用しています。
R&Iは、これはフィリピンの経済構造を反映していて、製造業の雇用に占めるシェアが低いことと、農業部門の生産性の低さに起因しているため、経済の構造改革が、中長期的に資源配分の効率化と生産性向上を実現されるかが注目されています。
カルロス・G・ドミンゲス3世財務長官は、R&Iの格付け評価は、コロナ・パンデミック時対応と積極的なインフラ開発など政府の政策と財政規律を堅持していることに対する評価であると述べています。
「私たちは、財政規律を堅持しながら、COVID-19による債務負担が将来の世代に引き継がれないようにしながら、可能な限り早い時期に完全な経済回復を達成することを約束します」とドミンゲス財務大臣は述べました。
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