「円安は当面続く」…日本円が“安全な通貨”ではなくなったワケ (画像はイメージです/PIXTA)

ロシアによるウクライナ侵攻後の「金融市場と円安進行」について、国際金融ストラテジストの長谷川建一氏が解説していきます。

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株式市場は、世界的に年初来安値に

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から、3月はいったん回復基調に入ったかに見られた株式市場でしたが、再び暗雲が垂れ込めてきました。

 

世界の主要株価指数でみると、年初来安値を付ける市場が多くなっています。3月の安値をも下回ってきている指数も増えており、年初に申し上げたとおり、注意を要する展開になってきました。引き続き、株式投資には慎重な投資姿勢を維持しておきたいと考えています(年初来騰落率は[図表1])。

 

[図表1]主要株価指数の年初来騰落率

 

米欧でのインフレ率上昇が急ピッチであり、その抑制のために、米FRBは、より早いタイミングで、より幅の伴った利上げを実施する可能性を示唆しています。そのため、金融市場でのドル金利の上昇にも弾みがつき、3月後半から4月の金利上昇幅は短期金利から長期金利に亘って全般に拡大しました。

 

これに、対ロシア制裁の影響によるエネルギー価格が上乗せされ、世界経済にとって足かせとなることが懸念されます。

 

そして、ここへきて米国経済の先行きにも変調が見え始めました。

 

第1四半期の企業業績は、予想を下回るところが増えてきています。製造業は、まだ高水準の受注残を抱えていて、生産水準は高いのですが、消費者信頼感指数の低下に見られるように、物価上昇による消費の落ち込みがサービス業の先行き見通しを悪化させています。

中国「食料の調達も困難」…ロックダウンへの警戒感

中国経済にも見通しの悪さは否めません。中国での新型コロナウイルスの感染拡大は続いています。ついに首都・北京市内でも感染状況が悪化し、ゼロコロナを目指すなか、北京市保健当局の発表によると4月27日の新規感染者は50人になりました。

 

過去1週間で数十人の感染が確認されたことから、北京市当局は25日に朝陽区で全住民の検査を開始し、他10地区と経済開発区にも対象を拡大しました。北京市の人口約2,200万人のうち約2,000万人を検査対象とするPCR検査を26~30日の間に3回、実施するようです。

 

住民には、ロックダウンへの警戒感が高まっています。上海市で大規模に実施されたロックダウンの影響は、市民が食料の調達にも困ったほどだったことが伝えられており、スーパーマーケットでは食料品や日用品を買い求める市民の姿が多く見られます。

 

経済的には、北京でも、上海市のような厳しいロックダウンが実施されれば、中国経済の成長見通しは一段と下方圧力が掛かることになります。製造業の生産にも影響は及び始めており、昨年の電力不足から部品不足に陥る産業も出てくることでしょう。そうなると、世界経済にも影響は避けられません。

 

ロックダウンによる新型コロナウイルスの封じ込め政策を厳格に適用し続けるには、経済コストが極めて高いことは明らかなのですが、中国政府には、ゼロコロナ政策を変更する動きが見えません。

Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト <在香港>

シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動しアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。

その後、MUFG銀行を離れ、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence (限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得し、最高経営責任者として、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。

世界水準の投資機会や投資戦略、資産防衛に精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。(個人ブログ:HASEKENHK.com

京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)、名古屋市生まれ

著者紹介

連載香港発!グローバル資産防衛のためのマーケットウォッチ

本記事は、幻冬舎ゴールドオンライン公式YouTubeチャンネル『「対ロシア経済制裁後の世界金融市場」円安も、日銀は金融緩和政策を変更せず』を元に作成したものです。

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