(画像はイメージです/PIXTA)

ロシアによるウクライナ侵攻後の「金融市場と円安進行」について、国際金融ストラテジストの長谷川建一氏が解説していきます。

日銀は「他国と違って金利を上げていない」が…

そのような中で、主要国家の中央銀行はインフレ抑制のために金利をどんどん上げようとする姿勢を鮮明にしています。慎重だったECB(ヨーロッパ中央銀行)も内部ではそのような議論を始めています。

 

一方で日銀は、日本のインフレ率がターゲットである2.00%に達していないこともあるのですが、長期金利が上がってくるとそれを抑制する措置をとります。つまり円だけ金利が上がらないので、相対的にほかの通貨を買いやすい状況になってしまっているのです。

 

このままいくと日本は、輸入物価の上昇によりインフレ圧力をより受けることになります。そのため、金融緩和政策を続ける判断も難しい問題になるでしょう。

 

「長期金利のガイドラインにこだわる必要があるのか」という疑問も生じてきます。非常に早いピッチの円安であり、国民生活に悪い影響を及ぼす可能性も十分にあると思うと、ここは考えどころになるでしょう。

 

日本銀行が4月27~28日に開催する金融政策決定会合では、筆者も予想していた通り金融緩和策に変更はありませんでしたが、政策修正への思惑もくすぶるのは上記のような点があるからです。

 

当面円売りの流れは止まりそうにありません。非常に急ピッチに上昇してきたため、高値警戒感はあり、さすがに130円を一気に抜けることはないと思われますが、120円を超えたドル円がそう簡単に120円以下に戻っていくとも考え難いでしょう。

 

世界の主要中銀はインフレ抑制に軸足を移し、金融政策の引き締めやその実施時期を検討し始めています。今年は、その点を注視し続けていかなければなりません。

 

 

■動画でも解説『「対ロシア経済制裁後の世界金融市場」円安も、日銀は金融緩和政策を変更せず』

 

 

 

長谷川 建一

国際金融ストラテジスト <在香港>

本記事は、幻冬舎ゴールドオンライン公式YouTubeチャンネル『「対ロシア経済制裁後の世界金融市場」円安も、日銀は金融緩和政策を変更せず』を元に作成したものです。

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