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中国経済、成長率はマイルドになってきているものの…
まず、2013年からの中国経済のGDP伸び率を見ていきます([図表1])。
2010年代から毎年7~8%の成長を遂げてきました。中国経済は現在、世界第2位の規模ですから、その経済が年に7%も成長をするというのは非常に大きなマグニチュードを持ちます。
ただここ数年、成長の度合いが変わってきています。
中国政府が「新常態」(内需主導型の経済に置き換えていくこと)を目標とし始めたのが、2018年頃。その頃から成長率がマイルドになってきているのです。
2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で成長率を落とし、2.2%となりました。ただ、世界のほとんどの国がマイナス成長状態にあったことを考えると、2.2%でもかなり優秀であったと言えるでしょう。
2022年・2023年については、5%台の予想です。今回の全人代では、成長率5%台前半を目標にした方針が採択されるのではないかと予想しています。
不動産の成長率鈍化がGDPに“モロに影響を与える”ワケ
続いて、中国経済の「GDP伸び率と不動産市況」を見ていきます([図表2])。
中国のGDPのうち4分の1を不動産の業種が占めます。よって、GDP伸び率と不動産市況には非常に大きな関連性があると言われており、[図表2]にもそれが如実に表れています。
実際、新型コロナウイルスの感染拡大時に不動産の業界の成長率がガクンと落ちた後、政府の支援策により盛り返した状況と、GDPが綺麗にリンクしています。
そんなわけで、2022年以降の成長率を見る際にも、不動産業界の成長率はポイントになります。
中国政府は『2022年は基本的に、「不動産開発業者の流動性の問題」を中央政府が表立って支えることはしない』と言っており、昨年半ばから問題になっています。ただ、この発言は言い過ぎかもしれません。流動性はきちんと確保しながら、糸をほぐすように、あまりショックを与えないように……とゆっくり支援を解消してきています。
日本のバブル崩壊に学んでいるところが大きいように思いますが、日本のようにいきなりプツッと流動性を絶ってしまうと連鎖倒産等が起こるので、流動性を保ちながら糸をほどいていく政策を取っていくのです。
それでもモラルハザードの問題があるため、“表立っての支援”はしないのでしょう。不動産業者はかなり苦しんでいます。この状態は少なくとも2022年上半期中は続くと考えられるので、GDP伸び率もかなりマイルドになると予想できます。
そして、新築住宅の価格も下がっています([図表3])。建設数自体は多いものの、引渡しに巻き込まれてしまう懸念から、売れ行きが悪くなっているのです。これも、不動産市況のパフォーマンスの悪さを示しています。