(画像はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大下で、ゼロ・コロナ政策を維持する中国は非常に厳しいロックダウンを実施しています。ロックダウンを大きな理由として、中国経済は非常にもたついている状況です。中国経済のもたつきというのは、日本経済に非常にインパクトが大きいもの。ウクライナ情勢も極めて心配なものですが、中国にもしっかりと目を向けておきたいところです。香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏が解説します。

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「ゼロ・コロナ政策」が中国経済に及ぼす深刻な影響

長年に渡り、非常に大きな成長を続けてきた中国経済。新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年で一旦大きく成長率を落としましたが、2021年には大量の政策を発動し、リカバーしていました[図表1]

 

出典:中国国家統計局データ、IMF WEO 2022年4月より、筆者作成
[図表1]GDP伸び率(2013年から10年) 出典:中国国家統計局データ、IMF WEO 2022年4月より、筆者作成

 

2022年のGDP伸び率については、全人代にて「5.5%前後」という目標設定が公表されました。

 

しかしここのところ、新型コロナウイルスの感染拡大、ゼロ・コロナ政策、ロックダウンによりかなり消費が落ち込んできています。

 

一部民間シンクタンクによる予想でも「5%を切るのではないか」「場合によっては4%スレスレではないか」というものまで出てきています。今の厳しい情勢を考えると、予想に到達する可能性はかなり低くなってきているでしょう。

 

実際、小売売上高はついに3月、前年比でマイナスとなりました[図表2]。大都市でかなり広範囲にロックダウンが実施されており、どうしても消費が伸びない状況なのです。

 

出典:中国国家統計局データより作成
[図表2]中国経済:国内消費は減少傾向 出典:中国国家統計局データより作成

 

感染者数は[図表3]を見てわかるように、「ゼロ・コロナ」状態ではありません。大きく増大してしまっています。

 

政策なのでなんとも言えないところではありますが、ゼロ・コロナ政策が果たして妥当で続けられる政策なのか?と考えると、厳しいものがあるでしょう。

 

出典:Johns Hopkins University CSSE COVID-19 Dataより作成
[図表3]中国国内における新型コロナウイルス新規感染者数の増加 出典:Johns Hopkins University CSSE COVID-19 Dataより作成

 

こうした現況を受け、3月の購買担当者景況感指数(PMI)は、製造業・サービス業ともに50を切ってしまっています[図表4]

 

出典:中国国家統計局データより作成
[図表4]購買担当者景況感指数 PMI 出典:中国国家統計局データより作成
次ページ経済政策が「ちぐはぐ」になってしまっているワケ

本記事は、幻冬舎ゴールドオンライン公式YouTubeチャンネル『「中国経済 ゼロ・コロナ政策で試練に直面」日本への影響も大』より書き起こしたものです。

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