子どもはいないけれど幸せに過ごしていた夫婦。しかし、ある日突然夫が帰らぬ人に……悲しみに暮れる妻に追い打ちをかけたのは、姑でした。年間140万人近くの人が亡くなる日本では、課税の有無によらず相続トラブルに見舞われる人が少なくありません。そこで今回、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が、嫁と姑の間で起きた事例について、相続トラブルの防止策と対応策を解説します。

夫婦共同名義のマンションも遺産分割の対象に

姑「あんたなんかと結婚したから、Bはこんなに若いのに死んだのよ!」

 

Aさん「……」

 

姑「本当なら、違う人と結婚して、私たちにも孫ができて、幸せな毎日が続くはずだったのに……全部、あなたのせいよ!」

 

Bさんの葬儀で、Aさんは姑から、散々、罵倒されました。そんな姑を親戚が止めに入りましたが、姑は姑で、子どもに先立たれ、錯乱状態だったのでしょう。Aさんにしても、なにか言い返す気力など、ありませんでした。

 

それからしばらくたち、Bさんの遺産をどう分けるか、遺産分割協議の場が設けられました。出席者は、配偶者であるAさん、そしてBさんの両親。

 

「まだBが亡くなってから時間が経っていないというのに、不謹慎ね」と姑が皮肉たっぷりにいいます。それに対して、舅は「何をいっているんだ。いずれは話さないといけないことだ。早いも、遅いもないだろう」と、姑をたしなめてくれました。

 

姑「で、Bの遺産はどれくらいあるの?」

 

Aさん「自宅のマンションと、あとBさん名義の通帳が、この2冊。遺産といえるのは、以上です」

 

Bさんの2冊の通帳には、1,500万円ほどの貯金がありました。

 

舅「私たちはもう年だから、いまさら遺産なんてもらっても仕方がないんだよ。だからBの遺産は放棄しようと考えて……」

 

姑「何いっているのよ! Bは私たちの子どもよ。なのに、結婚しているからって、この人に分けなきゃいけないなんて、おかしいと思わない?」

 

Aさん・舅「……」

 

姑「もとはといえばこんな女と結婚したせいでBが死んだのよ!それなのにBの財産まで取られるなんて許せない!」

 

舅「おい! いい加減にしろ」

 

姑「この人(=舅)がなんといおうと、私は、もらえるだけもらうわ。Bの貯金だって、あのマンションだって!」

 

Aさん「えっ、マンションって。私はこれからも、そこに住もうと……」

 

姑「そんなこと、関係ないじゃない! きちんとマンションも分けてちょうだい! それで、あんたとは、きれいさっぱり、縁が切れるわ!」

 

このあとも、姑の口撃はしばらく続きました。最終的に舅の仲介もあり、Bさんの遺産はすべて、Aさんが相続することになったそうです。しかし嫁姑の付き合いは、ゼロになったといいます。

 

次ページ「最悪の事態」を回避するために…防止策を解説

本記事は、GGO編集部あてに届いた事例をもとに、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が解説したものです。

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