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なぜ口座は凍結されるのか?
銀行は、口座の名義人の死亡を把握した時点で、該当の口座を凍結します。なぜなら原則として、人が亡くなるとその人の財産はすべて「相続財産」となるからです。
これは相続トラブルや不正な引き出しを防ぐための銀行側の措置です。遺産分割が完了するまでは、誰がそのお金を受け取るのかが確定していないため、銀行は「トラブル回避のために口座を止める=凍結する」対応を取るのです。たとえ家族であっても、名義人が亡くなったあとに勝手にお金を引き出すことはできません。
葬儀費用が払えないときに使える「預金の仮払い制度」
ところが、口座が凍結されると葬儀費用などの急な支出に対応できず、困る人も出てきます。そんなときに利用できるのが、2020年に新設された「預金の仮払い制度」です。
制度創設以前は、被相続人(亡くなった方)の預貯金は、遺産分割協議が終わるまで1円も引き出せないのが原則でした。
しかし、これでは葬儀費用などの緊急資金が用意できないという問題が多発したため、家庭裁判所の関与や相続人全員の同意がなくても、一部を払い戻せる仕組みが導入されたのです。
仮払いできる金額には「上限」がある
便利な預貯金の仮払い制度ですが、引き出せる金額には上限があります。上限額は、以下のうちの、いずれか低いほうの金額です。
●死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1
●150万円
たとえば、被相続人の預金が300万円の場合の計算式は下記のとおりとなり、
300万円 × 1 × 1/3 = 100万円
「100万円」の仮払いを受けることができます。
利用時の注意点
一見便利な制度ではありますが、注意点もあります。
まず、仮払いを受けた相続人は「相続財産を受け取った」とみなされる可能性があります。そのため、あとから「やはり相続放棄をしたい」と思っても、放棄が認められないケースがあるのです。それを考えると、預金の全容や借金の有無がわからないうちは、安易に引き出さないほうが安全だといえるでしょう。
また、この制度を利用する場合、本当に必要な金額に限定することが大切です。必要以上に引き出すと、お金の使途について相続人の間で揉め事が起こるリスクがあるからです。
このような注意点がある以上、利用は最終手段と考え、事前に対策を立てておくことが有効だといえます。
葬儀費用が心配であれば、葬儀会社のなかには、前払いのプランを用意しているところがありますので、そのような先を探して契約しておく方法があります。また、相続人全員であらかじめ「このお金は葬儀費用にする」と合意したお金を用意しておくという方法もトラブル予防に役立ちます。ほかにも、生命保険金を葬儀費用に充てるように設計しておくのも有効です。
仮払い後の正式な引き出し手続き
仮払い制度を利用したあとの残りの預金を引き出すには、通常の相続手続きが必要です。
銀行ごとに提出書類は多少異なりますが、主に以下の書類が必要となります。
●被相続人の戸籍一式
●相続人全員の戸籍
●各相続人の本人確認書類
●遺産分割協議書および全員の印鑑
●遺言書(ある場合)
遺言書がある場合は、必要書類が簡略化されることもありますが、詳細は各金融機関に確認しましょう。
トラブルを防ぐための生前準備
先述した通り、預金の仮払い制度を利用せずにすむよう、生前の元気なうちに準備をしておくことが重要です。具体的には、家族で葬儀費用の支払い方法を共有しておく、あらかじめ信託や生前贈与を検討しておく、といった方法が考えられます。
相続手続きは、銀行だけでなく、不動産・年金・保険などにも関わってきます。
だからこそ、元気なうちに整理を進めておくことが、家族への大きな思いやりとなります。
まとめ
人が亡くなると、その人の銀行口座は必ず凍結されます。
ただし、「預金の仮払い制度」を利用すれば、葬儀費用などの一部を引き出すことが可能です。とはいえ、相続放棄ができなくなるなどのリスクもあるため、制度を利用する際には慎重な判断が求められます。
相続後の混乱を避けるためにも、生前の準備と家族間の共有が最も重要です。
「いざという時に困らないように」今のうちに備えておくことをおすすめします。
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士
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