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2人で生きていこう…幸せな夫婦を襲った突然の悲劇
Aさんは、34歳のときに夫のBさんと結婚して今年で10年、子どもはいません。
Aさんは理系の大学院を卒業後、日系の大手製薬会社に就職。新薬の開発に没頭していました。日々の実験や解析、会議に加えて、仕事の合間を縫って論文を読む毎日。仕事は楽しく充実していましたが、忙しくて出会いがないことには少し悩んでいたそうです。
そんななか、30歳のころに開かれた大学のゼミの同窓会でBさんと再会。そこから2人は距離を縮め、結婚に至りました。
2人とも子どもは好きで、「1人は寂しいだろうから、2人は欲しいね」「名前はどうしようか」などと楽しく話していました。ただ、結婚後も仕事を続けていたAさんは、日夜研究に没頭するなかで妊活をする余裕がありません。成り行きに任せていたものの、子どもを授かることがないまま時が過ぎていきました。
「子どもは欲しい。だけど仕事はやめたくない……」という思いに悩まされるAさん。次第に追い詰められ、ある日涙ながらにBさんへ相談しました。
「そんなに思い悩まなくてもいいんじゃないか。夫婦、2人で楽しく生きていこうよ」
と、Bさん。Aさんは、そのひと言で救われたといいます。それからは、夫婦2人、「とにかく楽しく」をモットーに過ごしました。2人とも世界遺産巡りが好きで、年に一度は海外に行って少し良いホテルに泊まり、さまざまな世界遺産を巡ることが毎年の恒例になっていました。
ところが……。
「子どもがいないことをいいことに、贅沢ばかりして」
そう文句をいっているのは、Bさんの母。つまりAさんの姑です。Bさんの母は、子どもではなく仕事を選択したAさんのことを、快く思っていませんでした。
「以前、『子どもができないなんて嫁失格だ!』って怒鳴られたことがあるんです」と明るく話すAさん。それに対してBさんは「なんてことをいうんだ! ふざけるな!」と大きな声をあげたといいます。
それ以来、Bさんも実家から距離を置き、最低限の付き合いしかしなくなったそうです。
しかし平穏な日々は、永遠に続くものではありません。ある日、仕事の帰りが遅いAさんを心配したBさんは、Aさんの職場近くまで車で迎えに行くことに。その道中、居眠り運転のトラックが信号無視をしてBさんの車に衝突。Bさんは帰らぬ人となったのです。
突然の悲劇に、ただただ泣くことしかできないAさん。しかしそこに追い打ちをかける人物が――。
Bさんの母であり、Aさんの姑です。