
遺言書の重要性について、なんとなく知ってはいるものの、根本的な「遺言書をのこすべき理由」に気づいていない人は多いです。自分が亡くなった際、生前「面倒をみてくれた人」には遺産が1銭ものこらない……こうした「不平等」を回避するための方法を、永田町司法書士事務所代表である加陽麻里布氏が、3つの例を交えてわかりやすく解説します。
遺言書をのこすべき「2つの理由」
今回は、遺言書の重要性と遺言をのこす必要性が特に高いケースについて解説します。
なぜ遺言書をのこすべきか、その理由は大きく分けて2つあると考えます。
1.「実質的な平等」の担保
仮に遺言書をのこさずに亡くなった場合を考えてみます。
遺言書をのこさずに亡くなった場合、「法定相続分による遺産相続」が行われることになります。これはつまり、生前死亡者の「面倒をみた人」と「そうでない人」が平等に遺産を分けなければならないということです。この結果、「実質的な平等」が失われてしまうことになります。
このような事態を避けるためにも、遺言書をのこしておくべきだといえます。
2.遺産分割協議の「長期化」を避ける
遺言書による指針がまったくない状況では、話し合いがなかなかまとまらず遺産分割協議が長期化しがちです。経済的にも、精神的にも、手続き的にも、相続人である家族に大きな負担を強いることになってしまいます。
こういった意味でも、「遺言」は非常に重要な役割を担っているのです。
特に遺言をのこしておいた方がいいケース
特に遺言書を用意しておいたほうがいいケースとして、次の3つが挙げられます。
1.夫婦間に子供がいない場合
遺言をのこさずに夫が亡くなった場合、遺言がないと先述のように「法定相続」によって遺産を分けることになります。
この場合、老夫婦の直系尊属(=自分の親)はすでに亡くなっているため、妻が3/4、故人のきょうだいで1/4を分けることになります。
すると、もし1億円の財産があった場合、故人のきょうだいと大した付き合いが無かったとしても、2500万円はそちらに渡ってしまう可能性があります。
このようなことを避けるためには、子供のいない夫婦は「夫婦相互遺言」をすることをおすすめします。この遺言で、「私は妻(夫)に全財産を相続させる」と一言書くだけで、すべての財産を配偶者に相続させることができます。
こうすると、きょうだいには法律上「遺留分減殺請求権」(「最低限この金額がもらえる」という権利)がないため、付き合いのないきょうだいに財産が入ってしまう、といった事態を防ぐことが可能です。このケースに該当される方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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