(※画像はイメージです/PIXTA)

1割の自己負担で介護サービスを利用できるとはいえ、やはりお金は必要です。平均的な介護の初期費用は74万円、毎月の費用は8.3万円、介護期間は5年1ヵ月で計580万円です。老後資金のほかに、600万円以上の余裕資金は用意しておきたいものです。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏と横川由理氏が『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)で解説します。

明日は我が身?認知症患者は増え続けている

▶認知症保険

介護保険より人気が高い認知症保険。対象を認知症に絞っている分、こちらのほうが保険料は安めです。軽度認知症や予防に対応した保障もあります。

 

■介護の半数近くは認知症が原因

 

2012年に認知症と診断された人は462万人。65歳以上の7人に1人という割合でした。これが2025年には730万人に増え、65歳以上の5人に1人は認知症になると予測されています。

 

さらに、正常な状態と認知症の中間に当たるMCI(軽度認知障害)も632万人にのぼると見込まれ、MCIまで含めると3人に1人は認知症の傾向があることになります。

 

介護が始まった原因のうち、47%は認知症が占めています。認知症の介護はそのほかの介護に比べ、2倍以上の費用がかかるとするデータもあります。

 

そうした不安に備える保険が認知症保険です。ただ、認知症保険は認知症のみを対象としています。そのため、ほかの原因で介護状態となったときには、保険金を受け取ることができません。

 

その意味では、介護保険のほうがカバーできる範囲が広いといえます。とはいえ、実際は介護保険より認知症保険に人気が集まっています。認知症保険のほうが、保険料が安めに設定されていることも理由のひとつでしょう。

 

■早期発見と適切な対応がカギ

 

MCIは、いわば認知症予備軍です。

 

しかし、MCIと診断されても、適切な処置を行うことで、16~41%は正常な状態に回復すると言われています。

 

ですから、MCI の早期発見と的確な対応がとても重要です。早期発見のためには、MCIスクリーニング検査があります。費用は約2万円で、これは自費になります。太陽生命の「ひまわり認知症保険」は、2年ごとに認知症予防給付金を受け取れます。

 

『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)より。
『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)より。

 

保障内容がよくなり、保険料も下がってきた

▶引き受け基準緩和型保険

告知が緩く、通常より入りやすい保険です。その分、保険料は高めですが、死亡保障が必要な人には役立ちます。

 

■保障内容がよくなってきた

 

持病があっても入れる保険を、「引受基準緩和型(限定告知型)」と言います。告知項目は3~4つ程度と、加入の基準が緩くなっていることが特徴です。

 

引受基準緩和型の主流は医療保険ですが、終身保険・定期保険・収入保障保険など死亡保障の商品もあります。

 

ここ数年、引受基準緩和型保険は商品の改定が進み、保障がよくなり、保険料も下がってきています。

 

たとえば、以前は契約から1年間は、保障が50%に抑えられるという制限がついていました。ところが、その制限をなくした商品が数多く登場しているのです。また、保障内容についても、通常の医療保険とほぼ同程度になっています。

 

保険料も改定されてはいるのですが、それでも通常の医療保険より割高です。これはしかたがありません。給付金を支払う可能性が高いため、その分、保険料も高くなります。

 

■死亡保険なら有効活用できる

 

ただ、改善されたとはいえ、医療保険は優先度の低い保険です。高額療養費制度があるので、治療費の自己負担はそれほど多くなりません。ある程度の余裕資金があれば対応できます。したがって、引受基準緩和型医療保険の優先度は低いと言えます。

 

しかし、持病があって通常の死亡保険に入れない人にとっては、引受基準緩和型の死亡保険が役に立ちます。

 

その際は、定期保険や収入保障保険を選びましょう。子どもが独立するまで、年金の受給が始まるまでのように、保障を一定期間に限ることで保険料を抑えられます。

 

『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)より。
『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)より。

 

長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー
横川 由理
FPエージェンシー代表

 

 

NEWよい保険・悪い保険2022年版

NEWよい保険・悪い保険2022年版

長尾 義弘
横川 由理

徳間書店

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