明日は我が身?認知症患者は増え続けている
▶認知症保険
介護保険より人気が高い認知症保険。対象を認知症に絞っている分、こちらのほうが保険料は安めです。軽度認知症や予防に対応した保障もあります。
■介護の半数近くは認知症が原因
2012年に認知症と診断された人は462万人。65歳以上の7人に1人という割合でした。これが2025年には730万人に増え、65歳以上の5人に1人は認知症になると予測されています。
さらに、正常な状態と認知症の中間に当たるMCI(軽度認知障害)も632万人にのぼると見込まれ、MCIまで含めると3人に1人は認知症の傾向があることになります。
介護が始まった原因のうち、47%は認知症が占めています。認知症の介護はそのほかの介護に比べ、2倍以上の費用がかかるとするデータもあります。
そうした不安に備える保険が認知症保険です。ただ、認知症保険は認知症のみを対象としています。そのため、ほかの原因で介護状態となったときには、保険金を受け取ることができません。
その意味では、介護保険のほうがカバーできる範囲が広いといえます。とはいえ、実際は介護保険より認知症保険に人気が集まっています。認知症保険のほうが、保険料が安めに設定されていることも理由のひとつでしょう。
■早期発見と適切な対応がカギ
MCIは、いわば認知症予備軍です。
しかし、MCIと診断されても、適切な処置を行うことで、16~41%は正常な状態に回復すると言われています。
ですから、MCI の早期発見と的確な対応がとても重要です。早期発見のためには、MCIスクリーニング検査があります。費用は約2万円で、これは自費になります。太陽生命の「ひまわり認知症保険」は、2年ごとに認知症予防給付金を受け取れます。
保障内容がよくなり、保険料も下がってきた
▶引き受け基準緩和型保険
告知が緩く、通常より入りやすい保険です。その分、保険料は高めですが、死亡保障が必要な人には役立ちます。
■保障内容がよくなってきた
持病があっても入れる保険を、「引受基準緩和型(限定告知型)」と言います。告知項目は3~4つ程度と、加入の基準が緩くなっていることが特徴です。
引受基準緩和型の主流は医療保険ですが、終身保険・定期保険・収入保障保険など死亡保障の商品もあります。
ここ数年、引受基準緩和型保険は商品の改定が進み、保障がよくなり、保険料も下がってきています。
たとえば、以前は契約から1年間は、保障が50%に抑えられるという制限がついていました。ところが、その制限をなくした商品が数多く登場しているのです。また、保障内容についても、通常の医療保険とほぼ同程度になっています。
保険料も改定されてはいるのですが、それでも通常の医療保険より割高です。これはしかたがありません。給付金を支払う可能性が高いため、その分、保険料も高くなります。
■死亡保険なら有効活用できる
ただ、改善されたとはいえ、医療保険は優先度の低い保険です。高額療養費制度があるので、治療費の自己負担はそれほど多くなりません。ある程度の余裕資金があれば対応できます。したがって、引受基準緩和型医療保険の優先度は低いと言えます。
しかし、持病があって通常の死亡保険に入れない人にとっては、引受基準緩和型の死亡保険が役に立ちます。
その際は、定期保険や収入保障保険を選びましょう。子どもが独立するまで、年金の受給が始まるまでのように、保障を一定期間に限ることで保険料を抑えられます。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー
横川 由理
FPエージェンシー代表