自転車保険の義務化が進んでいる理由
▶「自転車保険」自分ために、相手のために欠かせない
高額な賠償の事例が多く発生したため、自転車保険の加入を義務づける自治体が増えてきました。2021年10月には熊本県で義務化がスタートし、全国での義務づけが進んでいます。
自転車保険が義務化されるようになったのは、2008年に神戸で小学5年生の男の子が自転車で女性に衝突し、意識不明の重体とさせた事故がきっかけでした。この事故では9521万円もの賠償金の支払いが命じられたのです。
2018年には、「女子大生ながらスマホ事故」が起こり、歩行者が死亡しました。加害者の女子大生は、禁錮2年、執行猶予4年の前科1犯です。通常の自動車事故の例から考えると、少し刑が軽いようです。
これは加害者があまり速度を出していなかったこと、自転車保険に加入しており、賠償金が支払われること、などが影響したと言われています。
紙一重のところで、刑務所に行かなくてすんだ理由になるくらい自転車保険は大切であることがわかります。
自転車保険は、自転車に乗っている間の損害を補償してくれます。損害には、次の2つがあります。
①自分のケガや死亡:傷害保険
運転者の通院や入院、あるいは死亡に対して保険金が支払われる
②相手のケガや死亡に対する賠償:個人賠償責任保険
被害者への治療費や慰謝料などについて保険金が支払われる。示談交渉サービスが付帯されており、事故の相手との交渉も保険会社が代行する
このように傷害保険と個人賠償責任保険がセットになった商品、それが自転車保険です。ですが、必ずしも自転車保険に加入する必要はありません。ようは、相手の死傷による損害を賠償できればよいわけです。
たとえば、東京都の自転車利用者向けチラシの裏面には、「自動車保険や火災保険などに『個人賠償責任保険』を契約しているか」と記載されています。つまり、個人賠償責任保険に加入していれば、自転車保険に加入しているのと同じとみなしてくれるわけです。
個人賠償責任保険はペットまで含めた家族全員が他人を死傷させた、あるいは、他人の物を壊した場合による賠償責任に対して保険金が支払われます。
自動車保険、火災保険や傷害保険の特約として付加するときは、必ず弁護士費用保険も併せて入っておきましょう。
自転車保険は多くの種類がありますが、見るべきポイントをいくつかご説明します。まずは、自分の死傷に対していくらの補償を受けたいのか? 相手への補償額をいくらにするのか? この2つを考えてみてください。賠償額は1億円や3億円など商品によって異なります。
自転車保険にはロードサービスがついている商品があります。たとえば、Au損保の「自転車向け保険 Bycle」は、自転車が自力で走行できなくなった場合、50㎞以内の希望の場所まで運搬。24時間365日トラブル現場に駆けつけてくれます。
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まずは、自動車保険や火災保険などの特約として加入していないかを確かめてください。同じ補償に対して、保険料を二重に払うことがないように心がけることが大切です。