デフレの原因は安倍政権の2度の消費税増税
――消費税を上げるためのウソですか。でも増税してからも、「景気は緩やかに回復しています」とおっしゃっていましたよね。
藤井 はい、強弁していらっしゃいました。事実は全く違う。消費税を10%に増税したことによって、2019年10月1日から景気はとてつもなく悪くなっていたんです。
景気動向指数DIというのがあるのですが、これはいろんな景気の尺度のなかで何%良くなっているかを判断する数値で、最低がゼロ、最高が100なんです。そのデータを見ると、10月ゼロ、11月もゼロですよ。滅多にないんですよ、2カ月連続ゼロというのは。
コロナ以前の直近でいえば、2008年のリーマンショック、その前が1998年でデフレに陥ったとき、その前はバブル崩壊という歴史的な経済ショックのときと同じなんです。それで「景気は緩やかに回復している」なんて、とんでもないウソだったんですよ。
――経済に弱い私でも、さすがにそれはウソだと気づいてました。スーパーへ買い物に行くと、売り出しの日はものすごい人だし、1日のうちでも、30%引きとか半額とかの割引シールが貼られ始める夕方が混んでいるんですよ。これで景気が回復してるわけないやん! と思ってました。
藤井 デフレのときは、世の中に出回っているおカネの量が少ないんです。だから民間市場に外からおカネを注げばいい。不況期は多くの民間企業や個人はおカネを出したくても出せない状況なのだから、政府が国債を発行しておカネをつくり出し、それを民間市場に注いで国民を豊かにする財政政策をどんどん打ち出せばいいんです。
その典型が中国ですよ。彼らは、リーマンショックなどの不況になれば、政府の借金が増えることなどお構いなしに、50兆円を上回る凄まじい財政出動を行って、たちどころにショックから立ち直り、ここ20年ほど超絶なスピードで経済成長を果たしてきました。
ところが日本は、「国の借金が膨らむと財政破綻する」という妄想に取り憑かれて、デフレ不況に陥っているにもかかわらず、政府は十分なおカネを民間市場に注がない。
それどころか、安倍政権は二度にわたって消費税を上げたんですよ。消費税を上げるから、人はますますモノを買わなくなる。世の中に出回るおカネの量がますます減っていく。「デフレ脱却」など、できるわけがないのです。
藤井 聡
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与
木村 博美
フリーランスライター
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