(写真はイメージです/PIXTA)

先ごろ、ネット上の誹謗中傷について、懲役刑も視野に入れた厳罰化の方針が示されましたが、ネット上で誹謗中傷を書き込まれると、長期にわたり風評被害がおよぶ可能性があります。本記事では、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が近頃の風評被害の事例を紹介するとともに、万が一風評被害にあってしまった場合に企業が取るべき対処法などについてわかりやすく解説します。

風評被害とは?最近の事例を紹介

風評被害とは、企業や店舗、商品などについて、根拠のないうわさや誤った情報が拡散されることにより受ける被害です。風評被害自体はかねてから存在するものの、SNSの普及によりうわさやデマが拡散されるスピードが格段に上がり、深刻な被害が生じてしまうケースも少なくありません。

 

はじめに、最近話題となった風評被害に関するニュースを紹介します。

 

「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」に参加したとのデマ

令和3年8月頃、新型コロナウイルスのワクチンが混入されたトマトが市場に出回るとのうわさが、短文投稿サイトであるTwitterなどのインターネット上で拡散されました※1

 

※1 弁護士ドットコムニュース:「ワクチン入りトマトが出回っている」、関与疑われたカゴメやカルビー「デマ」と否定(https://www.bengo4.com/c_23/n_13447/)

 

出回った情報には、ワクチン入りトマトの開発や流通に関わったとして、いくつかの大手企業名も掲載されていたようです。これにより、関連しているとされた企業の不買運動へと発展する騒ぎとなりました。

 

ワクチン入りトマトの製造に関連したとして名指しされた複数の企業が共同で会社を設立したこと自体は事実であるものの、この設立された企業がホームページに掲載した情報が曲解され、誤った情報が拡散されてしまったようです※2

 

※2 Plant Based Lifestyle Lab(https://pbl-lab.net/)

 

コンビニやスーパーマーケットなどでコロナ陽性者が確認されたとのデマ

コロナ禍においては、全国各地のコンビニやスーパーマーケット、飲食店などで新型コロナの陽性者が確認されたとのデマが相次ぎました※3

 

※3 SNSにコロナ感染のデマ 中傷被害で一時休職のコンビニ店長苦悩(https://mainichi.jp/articles/20201021/k00/00m/040/055000c)

 

インターネット上で拡散されたものの他、地域コミュニティ内での口コミなどで広まったケースも含めると相当の数があるものと思われます。なかには実際に陽性者が出ていたケースもあるかと思われますが、陽性者がいなかったにもかかわらず拡散されてしまったケースも少なくないでしょう。

 

このような感染症関連の情報が流れてしまうと、業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。

 

情報の真偽が不明であっても、念のために店舗の利用を控える行動をとる顧客も少なくないためです。

ネット上に会社の誹謗中傷やデマを書かれた…影響は?

インターネットやSNSの発達によって、誤った情報やデマがより短期間で広範に拡散されるようになりました。センセーショナルな情報であればあるほど一般のSNSユーザーの目を引きやすいためか、真偽不明な情報が拡散されてしまうケースがあとを絶ちません。

 

インターネットに誹謗中傷やデマの情報が書き込まれてしまうと、企業にとって次のようなリスクが生じます。

 

顧客が離れ売り上げが減少して業績が悪化する

情報が真実かどうかに関わらず、マイナスの情報が拡散されてしまえば、顧客離れが起きて売り上げが減少し、企業の業績が悪化する懸念があります。

 

特に、感染症に関することや異物の混入など顧客の健康に直接の被害をおよぼす懸念のある情報が拡散されてしまうと、業績への影響が大きくなりやすいでしょう。

 

企業のイメージがダウンする

ひとたび情報が広まってしまうと、長期的に企業のイメージが低下してしまうおそれがあります。一般消費者の多くは改めて情報の真偽を確かめることなく、拡散された情報で企業のイメージを固定化させてしまうことがあるためです。

 

たとえば、実際には撮影者が自ら大きな虫を食品に混入して撮影したにもかかわらず、その情報がインパクトの強い画像付きで拡散されてしまえば、一般消費者にとって虫の入った画像イメージが企業イメージと結びついてしまうことが考えられます。

 

その後撮影者が自ら虫を混入したことを認めて謝罪し企業になんら非がなかったことが明らかになったとしても、拡散された画像が想起されてしまい、購入を避けられてしまう場合もあるでしょう。

 

次ページ風評被害や誹謗中傷にあった企業が取るべき対処法

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    本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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