風評被害や誹謗中傷にあった企業が取るべき対処法
風評被害にあったり誹謗中傷をされたりした場合、初動を誤ると被害が拡大してしまうおそれがあります。
それでは、風評被害につながり得る情報が拡散された場合、企業はどのように対処すればいいのでしょうか? 順を追ってみていきましょう。
事実関係を確認する
はじめに、流れている情報についての事実関係を確認します。経営陣としては根拠のないデマだと考えていたとしても、実際には現場で起きた事実である可能性があるためです。企業が強く事実関係を否定したにもかかわらず後に事実であったことが判明した場合には、より企業イメージが悪化してしまうことが懸念されます。
デマに対して毅然と対応することは重要ですが、勇み足になってしまうことなく、事実関係の確認をおろそかにしないようにしましょう。
自社ホームページなどで早期に意見表明する
風評被害にあったり誹謗中傷をされたりした場合には、できるだけ早く自社ホームページのトップページなどで企業の意見を表明します。対応が遅いと情報の拡散が続き、炎上状態になってしまう可能性があるためです。
すぐに事実関係がわからない場合は、まず事実関係の調査中であることを掲載し、その後真偽が判明した時点で改めてその真偽を掲載するなど、段階を踏むといいでしょう。
なお、誤った情報が拡散されているSNS上で返信のコメントをすることなども、企業からの意見表明方法の1つではあります。
しかし、相手の土俵に乗ってしまうことにより泥仕合になる可能性がある他、投稿の一部が切り取られるなどしてさらに誤った情報が拡散されてしまったり、やり取りを見た一般ユーザーが企業に対してよくない印象を抱いたりする懸念があるため、原則としておすすめはできません。
書き込みの削除要請をする
ホームページでの意見表明と並行して、書き込みをした人に対して削除の要請をします。削除に応じてくれない場合には、弁護士へ相談してください。ただし、ユーザーに悪意があり匿名である場合には、削除要請にはいくつかのハードルが存在します。
また、既に情報が拡散されてしまったり別のサイトに転載されてしまったりした場合など、すべての情報の削除が事実上困難となる場合もあるでしょう。
削除までの期間が長期に及ぶ場合やすべての情報の削除が難しい場合があるため、削除要請に注力するよりも、出回った情報がデマであることを伝えるプレスリリースを打つなどユーザーの誤解を解く活動に尽力したほうがいい場合もあります。
法的措置を検討する
書き込まれた内容が悪質である場合には、刑法の名誉毀損罪や信用棄損罪、偽計業務妨害罪で告訴・告発することが可能です。
名誉棄損罪とは、公然と名誉が毀損された場合に適用される罪であり、書き込まれた情報が事実であるか事実無根であるかを問わず適用することが可能です。また、嘘の情報を流すなどして信用を毀損したり業務を妨害したりした場合には、信用棄損罪や偽計業務妨害罪にあたる可能性があります。
書き込まれた内容によっては、これらの刑事罰とあわせて民事上の損害賠償請求が認められる場合もありますので、弁護士に相談するといいでしょう。
まとめ
風評被害は、どの企業にとっても他人事ではありません。最近では、SNSなどのインターネット上でまたたく間に情報が拡散されてしまう場合もあり、被害の長期化や深刻化が懸念されます。
万が一風評被害にあってしまった場合に初動を誤ってしまうと、火に油を注いでしまうことにもなりかねません。風評被害でお困りの際には、ぜひ弁護士へご相談ください。
西尾 公伸
Authense法律事務所弁護士
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