FIREで話題の「不動産投資」…本当に儲かるのか?リスク・リターンを徹底分析【1級FP技能士が解説】

FIREで話題の「不動産投資」…本当に儲かるのか?リスク・リターンを徹底分析【1級FP技能士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資とは、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、その家賃を収入として受け取る投資手法のことを指します。過日、地上波TV番組で元証券会社の女性が不動産投資を始めてFIRE*しているとピックアップされていました(*FIRE =Financial Independence, Retire Earlyの略で、経済的自立〔Financial Independence〕を確立し、早期退職〔Retire Early〕することを意味する言葉です)。でも、不動産投資って本当に儲かるのでしょうか? 今回は「一棟買い」と言われる不動産投資に限定して、そのリスクとリターンについて検証してみたいと思います。

具体的な「一棟買い」を考えてみる

以下のような不動産一棟買いの情報が得られたとします。

 

<不動産物件概要書(購入物件情報)>

●駅チカ好条件物件 購入価格 1億9,700万円

●竣工年月 令和3年12月

●土地面積 66.08m2(19.98坪)

●建築構造・階数 RC造 地上6階 地下1階建て

●間取り ワンルーム×6戸 1LDK×2戸 店舗×1戸

 

<収入予想>

●賃料 ワンルーム 76,000円/月、1LDK 122,000円/月、店舗 260,000円/月

 ⇒合計)月額960,000円(満室時)/年額11,520,000円

 

<予定利回り>

●グロス 5.848%(年間賃料予想額/不動産購入価格)

●ネット 3.333%(各種経費控除後の収入額/不動産購入価格)

 

次に、不動産にかかる経費についても考えます。

 

<不動産維持費>

●共用部分関連費用(エントランス電気代・水道光熱費等) 108,000円/年

●損害保険料(建物の火災保険) 187,500円

●入居者退出時必要費用(ハウスクリーニング・消耗品費・修繕費用等) 305,000円/年

●固定資産税(固定資産評価額×1.4%) 210,000円/年

●不動産管理費(空室保証・仲介手数料等) 576,000円/年

●ローン利息(1億8,000万円 借入金利2.0% 35年返済) 3,567,222円/年

 ⇒合計)4,953,722円

 

■よくある「キャッシュフローの勘違い」

ここで、投資家が陥るキャッシュフローの勘違いについて、記載しておきます。

 

まず、ローン返済額は経費で落ちる利息部分だけでなく、元本返済額もキャッシュアウトします。上記例では、元利均等支払いで、【7,155,264円】が実際の金融機関への返済額です。

 

確かに、元本は返済することで資産を積立ている効果が得られます。しかし、金融機関の返済額(元本+利息)を加味し、年間収入額以内に抑えるように計算しませんとキャッシュフローが厳しくなるということです。

 

上記例では、購入時から9年間(10~50万程度)の持ち出しが生じる計算になります。

 

持ち出し金額は、積立している元本返済に充てられていると考えれば、強制的な積立預金のような役割を果たしますが、各種費用を保守的に計算すると「収入-経費」で計算されるキャッシュフローはギリギリのことが多いです。

 

また、不動産による収入が生じるということは、開業届を税務署に提出したうえで、毎年の不動産所得税も生じます。他の所得との合算で税率は決定しますので、上記物件だけで何%の税率が決定されるかは計算できませんが、個人投資家であれば不動産を所有することで確定申告が必要となり、それにかかる経費も考慮する必要があります。

次ページ想定される「不動産投資のリスク」

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