日本経済、撃沈…今後「資産を減らす日本人」がおかしている「致命的なリスク」【1級FP技能士が解説】

日本経済、撃沈…今後「資産を減らす日本人」がおかしている「致命的なリスク」【1級FP技能士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

円安、株安、物価高…日本経済はこのままで大丈夫なのでしょうか。日本経済の現状と復活の可能性、日本人の資産防衛について、一つずつ見ていきましょう。1級FP技能士・笹田潔氏が解説します。

「日本売り」、始まる

■米国CPIが上昇したことで、円安が加速

米国労働省が6月10日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比8.6%に上昇し、3月につけた8.5%を上回り、1981年12月の8.9%に次ぐ40年5ヵ月ぶりの高水準となりました。これを受け円安が加速しています。6月13日の東京外国為替市場、円相場は一時、1ドル=135円台前半まで値下がりしました。1998年10月以来、およそ24年ぶりの円安水準です。

 

米国の消費者物価指数(CPI)と円安がなぜ関係しているか、簡単な解説を加えておきます。

 

現在の外国為替における円相場は、ドルやユーロだけでなく人民元やロシアルーブル、韓国ウォンよりも大幅に売られていることをご存じでしょうか? 物価指数が上昇すると、法定通貨を管理する中央銀行は物価上昇を抑えるために、紙幣の流通量を減らすことでインフレを抑制しようとします。手元に法定通貨が少なくなれば、消費者心理として高価なものに対する購入意欲が減退し、節約もしくは安いものを好んで購入することでデフレに向くという原理なのです。逆に法定通貨が金融緩和などで充分に手元にあるときには、土地や金、高級ブランド品などを購入した方が現金を持っているよりも価値が上がるのではと考え、購入意欲が増加し市場が活性化、インフレへと向かいます。

 

これが俗にいう物価とデフレ・インフレの関係です。しかし、法定通貨の役割が多様化する時代となった現在では、各国の発行する通貨価値が通貨発行量だけでは図れなくなっています。いわゆる国に対する信頼そのものが、その国の法定通貨価値に変わっているのです。

 

米国の消費者物価指数(CPI)が上がっていることで、米国は金融引締め策を講じてインフレを抑制しようとしています。ところが日本銀行は、景気が上昇するまで金融引締め策に入ろうとしません。インフレ抑制は次のステップと考えているようです。

 

この金融政策の違いが他国から日本円の信頼を失う要因となり、ロシアルーブルや人民元の価値がドルに対して下がっていないにも関わらず、日本円だけがグローバル経済で考えられている物価上昇と法定通貨とのバランスを崩しているとの見方から、日本円は信用を失い、世界各国が円売りへと舵を切ってしまったといっても過言ではない気がします。

 

円安が継続すると、輸入に頼っている原材料の価格が上昇しますが、日本銀行の黒田総裁が述べている「好ましくない物価上昇」を金融緩和策で抑え込もうとする方針は、他の法定通貨を利用している国からみれば、質の良い商品を提供している日本で高価なものを購入することは自国で日本製品を購入するよりも良い買いものができることになります。これが、外国から「コロナ収束後に訪れたい国」として日本が第1位に選ばれた理由にもなっているのです。

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