(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもを中高一貫校へと入学させた親からよく聞く悩みの一つが、「今の塾では成績が上がらないから、転塾を考えている」というもの。決して安くはない授業料を払っているのに成果が出ないとなれば、確かに塾を変えたくもなるでしょう。とはいえ、転塾したからといって必ずしも成績が上がる保証はありません。転塾がうまくいくケース、うまくいかないケースについて見ていきましょう。塾講師として30年間、中高一貫校に通う生徒の難関大学現役合格をサポートしてきた乾俊和氏が解説します。

「良い講師」の意外な条件

■説明が上手い講師が「良い講師」とは限らない

子どもの成績向上において、講師の力量が占める割合は大きくないと考えています。私自身、かつて人気講師と呼ばれ、毎回の授業で立ち見が出るほどでしたが、子どもの成績を上げた実感を持っていません。大学受験では、成績を上げる一番の要素は、切磋琢磨する仲間であり、二番目は科学的、統計的に裏づけられた学習習慣であり、講師の力量は第3位や第4の要素であると考えています。

 

そうした中で良い講師とはどういう講師なのかを考えてみましょう。

 

■良い講師は「解答をすぐに与えない」

絶対にダメな講師は正解をすぐに伝える講師です。逆に答えは与えずに、ヒントや手掛かりを順次提示していく講師は良い講師です。前者の講師の生徒は、考えることを放棄し、後者の講師の生徒は自ら考える力をつけていきます。思考を奪うのか、思考を育てるのか、どちらが良いかは言うまでもありません。

 

⇒考えさせるのが良い講師

 

■成績の上位の生徒への接し方

成績上位の生徒に接する時は「いじわる」になるように努めています。難問を与えたり、少しトリッキーな問題を与えたりして、彼らの頭を刺激し、徹底して思考させます。授業のほとんどを演習に使います。行き詰まった時も答えを教えることはありません。ポイントとなるところや躓いていると思われるところを少し指摘するだけです。勉強のできる子どもは、「難問が解けた時の快感」を知っています。だから、子ども自身が答えを求めてくることはありません。子どもたちが欲しいのは、問題が解けた時に脳から分泌されるドーパミンです。

 

⇒ドーパミンが分泌される問題を与えるのが良い講師

 

■成績が中位の生徒への接し方

成績が中位の生徒への接し方も上位層と大して変わりません。この層にも「達成感」を感じられるような、言い換えれば「ドーパミンが分泌される」ような問題を与えるだけです。

 

上位層と異なるのは上位層よりも多くの問題を解くことです。難問を解く際の粘り強さや集中力は、まだ身についていないことを考慮して良問に多く当たらせます。それによって、経験値を上げることと、達成感を何度も味わわせることで勉強の楽しさを教えるためです。

 

⇒良問を見極め、数多く解かせるのがいい講師

 

■成績が下位の生徒への接し方

成績が下位の生徒には、正答率が80~85%の問題を数多く経験させています。アメリカの研究では、最も学習の効率が良いのは正答率85%の問題をすることだそうです。こうした問題を多く解くことで、基礎学力をつけると同時に、勉強することを習慣化させます。

 

頭を使うよりも体を使うアクティブな学習を心掛けています。

 

⇒やさしめの問題で勉強を習慣化させるのが良い講師

 

■失敗した子を「褒める」のが良い講師

子どもが課題をクリアできなかった時、褒める先生と叱る先生がいます。褒める先生が圧倒的に成績を伸ばします。問題に挑戦したことを認めます。そこが出発地点です。間違いを一緒につぶしていくことで成績は改善していきます。逆に間違いを責めてばかりいると、子どもは委縮し、やがて問題に取り組むことすら厭うようになります。

 

⇒褒め上手な講師にはずれなし

 

 

乾 俊和

株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長

 

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※本連載は、乾俊和氏の著書『具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

乾 俊和

幻冬舎メディアコンサルティング

勉強への意欲がアップする! 定期テストや模試の成績も上がる! 東大合格も夢じゃない! 塾講師として中高一貫校に通う子どもたちを約30年間サポートし、学校の最下位グループから東大理IIIや京大医学部に進学させた実績…

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