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MMTは「トンデモ理論」ではないのですか?
■政府の赤字=国民の黒字
藤井 つまり、誰かがおカネを借り続けておいてくれないと、私たちの手元におカネがなくなる。もちろん、借りたおカネは返さなくてはいけませんよ。だけど、借りた分を返すだけだったら、世の中におカネがなくなってしまう。だから、どこかでまた借りるか、誰かが借りてくれないといけない。
ただ、借りるときに友だちから借りてもダメですよ。その場合は、おカネが右から左に移っただけで、1円も増えない。おカネを増やすためには、「銀行」から借りなくてはいけません。銀行は、万年筆でおカネをいくらでも生み出せる魔法使いみたいなもの。最大の魔法使いが日本銀行ですよ。ものすごいペンを持っている。100兆円とか書けるわけです。
今、政府は何百兆円も日銀から借りて、その他の銀行などからも少しずつたくさんのおカネを借りていて、総額1220兆円も借りているんですけれど、それを全部返したら大変なことになってしまう。政府がおカネを1220兆円借りてくれているから、世の中にその1220兆円分のおカネが存在しているんです。
――ということは、「政府の借金」は別に悪いことではないわけですね。
藤井 そうなんです! 政府がおカネをたくさん借りてくれているおかげで、それだけのおカネが生み出され、私たちの手元におカネが入ってくるようになっているわけです。つまり政府の財政赤字の拡大は、民間の市場の側から見れば、「良いこと」なんですよ。
もっとシンプルにいうと、「政府の赤字」は「民間の黒字」なんです。「民間が黒字になる」ということは、民間の市場に外部から資金が注入されることを意味します。政府が赤字国債を発行すること、すなわち「政府の赤字」は、「民間市場への外部からの資金注入量」そのものになります。政府の国債発行によって、私たちのおカネが増える。要するに、国民が豊かになる。政府の赤字は、民間の黒字なんですよ。いうまでもなく、私たちは「政府」ではなくて、「民間」です。
MMTは、こうした貨幣循環の「事実」に着目した上で、政府の財政赤字を、民間市場への資金注入量の拡大を意味するものとして肯定的に捉えるわけです。一般的な風潮は、「政府の財布」を重視する視点を持ち、財政赤字を悪しきものと見なすわけですが、MMTは、「民間の豊かさ」を重視するという視点を持っているのです。
――なるほど。政府から見たら赤字でも、私たちから見たら黒字になる。政府の赤字=民間の黒字。そう、そうですよね! 政府の財布から、コロナ対策の給付金10万円を引き出したら、私の財布は一気に10万円増えましたもん。
藤井 そうでしょ。その10万円はもともと、政府が国債を発行して用立てたものです。つまり、政府が10万円の借金をして、私たちに給付したわけです。で、その政府の借金のおかげで、10万円が何もないところから生み出されたというわけです。
――ということは、自分はどうにか暮らせているからと、10万円給付の申請を遠慮したりするのは、全然、世の中のためにならないわけですね!
藤井 そうです。そうやって遠慮してしまえば、10万円が生み出されなくなってしまうのですから。世の中のおカネの総量が10万円分少なくなってしまうんです。
――そういえば当初、10万円給付の申請をするつもりかと聞かれた菅義偉官房長官(当時)が、「常識的にはしないと思う」とおっしゃってましたけど、政治家の「常識」に従っていると、国民はちっとも豊かにならない、ということですね。
藤井 そうなんです。多くの政治家が、給付金をもらわないことが良識だと思っていらっしゃるようですけど、経済の実態を知っている者からしたら、彼らの良識なるものは、とんでもない「非常識」なんです!
話を戻しましょう。さきほどの「誰かが借りていないと世の中のおカネがなくなってしまう」という話ですが、おカネを借るときに大事なのは何だと思いますか?
――信用、ですよね。
藤井 その通り。僕が数兆円の資産家だとか、出す本はいつもミリオンセラーだとか大ボラふいても、銀行は1億円なんて大金を僕に絶対に貸してくれない。そんな僕を信用しないからです。借金ができるのは信用のある人ですよ。お金持ちよりも信用があるのは、トヨタとか日立製作所とかの大企業。大企業よりも信用があるのは、間違いなく政府です。
だから政府は、「日本最強の借金大王」になれるわけです(笑)。なにしろ紙幣すら生み出せる最大の魔法のペンを持っている日銀の親会社なんですから。
今は景気が落ち込んでいて、大企業も儲かったおカネを一向に使わず、内部留保として溜め込み続けて、世の中で回っているおカネがちょっとしかない。そんなとき、誰におカネを増やすことを頼みますか? もちろん、政府でしょ! この国で誰が一番借りられるかといったら、政府しかないのです。ここで政府が借金をしなかったら、国民は貧乏なままですよ。
藤井 聡
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与
木村 博美
フリーランスライター
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