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「銀行で借金したらお金が生まれる」って?
■おカネは銀行で借りたときにつくられる
藤井 現代貨幣に関して、押さえておくべき重要な「事実」がもう一つあります。「おカネは銀行で借りたらできる」ということです。
――は? 何をおっしゃっているのか……。
藤井 ちょっとわかりませんよね。詳しく解説しましょう。おカネって、働いたら給料として払ってくれたり、頼んだら貸してくれたり、と「すでにある」ようなものだと思っているでしょう。世の中に出回っていて、それをやりとりしている感じがしますけど、縄文時代にはおカネはなかった。ということは、どこかでポコッとできているわけですよ。いつできたん? と思いませんか。
実は、今でも毎日毎日、おカネがどこかでポコポコ、ポコポコ、「泡」のように生まれているんですね。ポコポコ生まれては消え、ポコポコ生まれては消えている。じゃ、おカネはいつ、どの瞬間に生まれるのか?
――日本銀行がお札を刷ってつくったとき?
藤井 確かに現金紙幣は日銀が刷っています。でも、刷っただけでは単なる紙に過ぎません。さっき、銀行には現金を少ししか置いていないといいましたが、余分な現金を日銀に預金しているんですね。前にもいったように、日銀は銀行の銀行ですから。
それでたとえば、あなたが銀行へ行って「5000万円引き出したい」といったら、行員さんが「あ、ちょっと待ってください」といって、日銀に行くわけです。簡単にいうと、各銀行の預金が日銀に何千億円とあって、そのうちの5000万円の預金を現金に換えて、あなたに渡すわけです。日銀が紙幣を刷ってるだけでは、単にそこにあるというだけ。私たちが引き出さないと、おカネにはならないのです。
――引き出す前に、もちろん預金が必要になりますよね。その預金は……うーん、混乱してきました。質問は、「おカネはいつ、どの瞬間に生まれるのか?」でしたね。
藤井 では、わかりやすくするために、ものすごくシンプルに考えましょう。今、あなたも僕もまわりの人たちも、全員の口座の残高がゼロだったとします。世の中に現金も全くない。この世界でどうやったら、おカネができると思いますか?
――自分でお札を刷る、というのはダメですよね(苦笑)。……わかりません。
藤井 僕が銀行に行って、「すみません、100万円貸してください」というんです。銀行にも現金がなかったとします。それでも、銀行はおカネがないから貸せません、とは決していわない。「あなたを信用して、100万円お貸ししましょう」といって、僕の通帳に万年筆で1,000,000と書く。そしたら僕に100万円の銀行預金ができた、となるじゃないですか。
――あーっ、そのときに、ポコッとおカネが生まれたわけですね!
藤井 そう、そう、これがMMTでよくいわれる「万年筆マネー」と呼ばれるものです。ちなみに今は、キーボードを叩いて通帳に書き込むので、「キーストロークマネー」ともいわれますけど、万年筆やキーボードで10,000とか1,000,000とかって書いた瞬間に、おカネが生まれるわけです。10,000,000,000と書いたら、100億円がポコっとできるんです。
――ひえ〜っ、夢みたいな話!
藤井 不思議でしょ。でも、これが「事実」なんです。銀行員や税理士、財務官僚なら、常識として知っている「事実」なんですよ。彼らは、こういう話を「信用創造」っていいます。
■借金を返すと世間のおカネが消える
藤井 話を戻しましょう。僕が銀行で100万円を借りることができて、僕の預金通帳に1,000,000と書いてもらえたら、あとは電子決済で100万円を使えるじゃないですか。僕が100万円を借りている間、世の中におカネが100万円存在していますよね。いろんなところでそれを使って、あるとき、僕が100万円を返そうと思いました。世の中に100万円しかおカネがなかったときに、どうやったら返せますか?
――うーん……。
藤井 僕が使ったおカネを全員から集めるしかない。全員から強制的にむしり取るか、あるいは全員の肩を100万円分揉んであげるとか、料理をつくってあげるとか、いろんなことをしてみんなからおカネをかき集めて銀行に返す。そうして全員のポケットからおカネがなくなりました。僕しか持っていない100万円を銀行に返しました。世の中のおカネは?
――なくなりますよね。
藤井 そう、消えてしまった。銀行におカネを返す、という行為が、おカネを消すんですよ! 信じられないでしょうけど、これが「事実」です。つまり、おカネというものは、「借りれば生まれる、返したらなくなる」わけです。ということは、たとえば世の中に1億人いて、みんながちょっとずつおカネを借りたとしましょう。全部で100億円借りたとします。この1年の間にみんなが計60億円返す。そしたら、この国にいくらおカネが残ってますか?
――40億円。
藤井 そう。借りた分から返した分を差し引いた分だけ、世の中に残っているんです。借りている間だけ借りた分のおカネがあって、返した瞬間に返した分のおカネがなくなる。つまり、借りている量のほうが多かったらおカネが世の中にあるんです。だから世の中は、常に誰かが余分におカネを借りておいてくれないと、おカネがゼロになっちゃうんですよ。
――なるほど。
藤井 おカネが消えていく量と生まれてくる量の関係で、生まれてくる量の方が大きい限りにおいておカネが残存する。これが、現代における貨幣の「真実」です。