写真:PIXTA

5月に次期大統領選が行われるフィリピン。海外投資家からも大きな注目を集めています。そのようななか、22年の経済成長率は政府目標には届かないものの上方修正されました。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピン経済の今後を分析します。

ウクライナ危機の影響…フィリピンは限定的

ロシアのウクライナ侵攻は、COVID-19による世界的なサプライチェーンの混乱を再発し、米国における予想よりも急激な金融政策の正常化とともに、成長見通しに対するリスクであると考えられますが、東南アジア経済は、2つの経済に対するエクスポージャーが小さいことを考えると、2022年のASEAN地域のGDP成長には限定的な影響を与えると予想されます。しかし、紛争の拡大と長期化は、成長の下振れリスクではあります。

 

AMROによると、フィリピンのインフレ率は2021年の3.9%から2022年には4.1%に加速すると予想されています。これは、フィリピン中央銀行(BSP)のインフレ予測である4.3%を下回っていますが、目標の2〜4%は上回っています。インフレは2023年までに3.5%まで緩和すると予想されています。そして、中央銀行が政策金利をすぐに引き締める可能性は低いとも述べています。

 

フィリピン経済は世界中の国境の再開から恩恵を受ける可能性があり、より多くのフィリピン人が海外で働き、国内消費を支えるより多くの送金を可能にするかもしれないですと述べています。また、財政支出は、大規模なインフラプロジェクトを通じて成長を支え続けることが期待されています。

コロナ規制緩和で、再びフィリピンへの投資は戻るか?

コロナウイルス感染のオミクロン主導の急増とより厳しい規制が投資家のセンチメントを弱めたため、外国直接投資(FDI)の流入は2022年1月に8か月ぶりに減少しました。

 

4月11日の夜に中央銀行BangkoSentralng Pilipinas(BSP)が発表したデータによると、 FDIの純流入額は前年の9億7500万ドルから16%減少して8億1900万ドルになりました。

 

これは、 過去8ヵ月間で初めての対前年減少でした。対前月でも、12月の11億ドルから23%減少しました。

 

中央銀行は声明のなかで、「これは主に、国内での感染性の高いオミクロンCOVID-19変異体の症例の復活と、2022年1月初旬のより厳格な検疫措置の再施行を実施したことによるく投資家の懸念によるものかもしれない」と述べています。

 

政府は、オミクロンの蔓延を抑えるために、1月にマニラ首都圏と一部の州を警戒レベル3に設定しました。COVID-19の症例が急減したため、制限は3月から最も寛大なレベルに緩和されました。

 

FDIの主な内容は、日本、米国、オランダ、マレーシアからの製造業、電気製品、ガス、エアコン、金融および保険、不動産への投資です。

 

アジアン・インスティテュート・オブ・マネジメントは、COVID-19の症例が減少し続け、事業活動が改善するため、FDIは今後数ヵ月で回復する可能性があると述べています。

投資家はまた、5月のフィリピン大統領選挙の結果を注視しています。故マルコス大統領の息子である元上院議員フェルディナンドR.マルコス・ジュニアは、5月9日の大統領選挙の最有力候補と見られています。

 

一方、先月のブルームバーグのエコノミスト調査によると、レニー・G・ロブレド現副大統領が投資家とアナリストの間では人気が高いというデータが出ました。

 

なお、中央銀行は先月、経済活動の継続的な回復と投資に優しい改革の実施を理由に、2022年のFDI予測を85億ドルから110億ドルに引き上げました。2021年の実績ベースは過去最高の105億ドルとなり、2020年の68億2200万ドルから大きく回復しました。

 

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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