生活習慣病の兆候がないかを調べる
■負担の少ない検査法で生活習慣病の兆候をチェック
職場の定期健康診断で調べるおもな検査項目(すべての職場で行う検査)は次のものです。各種の数値の計測や血液検査、尿検査、X線検査などで生活習慣病の兆候がないかどうかを調べます。
■問診/既往歴/自覚症状の確認……医師が病気の経験や自覚症状、喫煙の習慣などを質問し、本人の表情や顔色などから数値に表れない病気のリスクを推測します。
■身長/体重/腹囲の測定……身長と体重からBMI(体格指数/肥満度)を計算します。腹囲はメタボリックシンドロームの判定に使用します。
■視力検査……視力低下や失明につながる緑内障・白内障・糖尿病性網膜症などの兆候を調べるほか、情報機器作業などによる視力低下を早期に発見します。
■聴力検査……低音(1000Hz)と高音(4000Hz)の2種類の音を聞き、聞こえを確認します。おもに騒音性難聴や加齢性難聴の兆候をみつけるために行います。
■胸部X線検査/喀痰検査……胸部にX線を照射し、肺や気管の呼吸器疾患や心疾患の有無を確認します。喀痰検査では、痰の中にがんの疑いのある細胞がないかを調べます。
■血圧……血圧計で最高血圧(収縮期)、最低血圧(拡張期)を測定し、高血圧の有無を調べます。高血圧は脳血管疾患や心疾患に影響するので要注意です。
■血液一般/貧血検査……血液を採取して、赤血球数や血色素量から、貧血の有無やその種類・性質などを調べます。
■肝機能検査……血液中のGOT、GPT、γ-GTPなどの数値から、脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変などの兆候をみつけます。
■血中脂質検査……血液中のLDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド(中性脂肪)を調べ、脂質異常症を発見します。脂質異常症は動脈硬化を進め、心・脳血管疾患のリスクを高めるので注意が必要です。
■血糖検査……空腹時血糖などから、糖尿病やその予備軍の人を発見します。過去数ヵ月の血糖状態を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を見ることもあります。
■尿検査……糖尿病や糖尿病性腎症の兆候や、腎炎や慢性腎症の発見に役立ちます。内臓の疾患や機能低下があると、腎機能の数値にも変化が表れることがよくあります。
■心電図検査……心臓の働きを調べ、心疾患や不整脈などの異常の有無を調べます。健診時に異常がなくても、日常生活で動悸や息切れなどの症状があれば受診が必要です。
健診のコースによってはこれらのほかに、眼底検査、肺機能検査、胃部検査(X線・内視鏡)、腹部超音波検査、大腸検査(便潜血、直腸診)、婦人科検診、肝炎検査などが行われることもあります。
それぞれの検査項目の参考基準値は図表のとおりです(全国健康保険協会)。医療機関や健診施設により基準とする数値は多少異なっていますので、参考として見ていただければと思います。
富田 崇由
セイルズ産業医事務所
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