本記事は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。目まぐるしく動いた3月の日経平均株価……このような動きをみせた背景・要因を紐解いていくと同時に、4月以降の国内株の見通しについて考えていきます。
4月から年央にかけての日経平均株価見通し
大型株の上値は重いものの、下値は1ドル120円を超える円安がサポートか
4月以降(概ね5月~6月の年央にかけて)の日経平均株価については、利益確定売りをこなしながら戻りを試す展開を想定する。
とはいえ、3月の安値から急反発しており、また本格的な決算シーズンを迎えるまでは上値突破のためのカタリスト不足(材料不足)の感は否めず、短期的には上値の重い展開を想定している。
一方、1ドル120円を超える円安水準はグローバル企業を中心とした業績のバッファーとして意識され下値をサポートしよう。
ドル円は、
①日米成長率格差
②日米金融政策格差
③日米金利差の拡大
等を背景にドル高円安が急速に進展し、3月28日に年初来高値である125.09円まで上昇した。
その後は、政府による円安けん制とみられる動きに加え、急ピッチの上昇に対する利益確定の売りが強まったが、4月8日時点(取材時点)では124円台まで戻して推移する。
4月5日、日銀の黒田総裁が衆院財務金融委員会で「今回の為替相場の変動はやや急」との認識を示したことが円安けん制発言と捉えられる場面もあったが、日銀が引き続き大規模な金融緩和姿勢を維持していることに変わりはなく、円安圧力がかかりやすい状況は依然として残ろう。
また、大学ファンドによる需給面からの円安圧力も引き続き残り、円安方向へのサポートは継続するとみる。
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東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
山一證券、メリルリンチ日本証券、損保ジャパンアセット(現SOMPOアセット)などでの富裕層・法人営業に加え、年金基金、投資信託のアナリストやファンドマネージャーとして新興市場やオルタナティブを含む幅広い市場・商品の担当責任者を経て、2016年に東海東京調査センター入社。
現職では短中期の戦術的資産配分(タクティカル・アセットアロケーション)やオルタナティブ投資(ヘッジファンド・テクニカルやコモディティ戦略含む)の視点を踏まえたグローバルな日本株の市場分析等を行う。他の代替資産・戦略としてJリート投資戦略、ESG投資戦略、行動ファイナンス投資戦略などもカバーしている。
英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA。アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院米国臨床心理学修士号(MA)。慶應義塾大学商学部卒。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト(MFTA)、CFP、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士。
日経CNBCなどのTV・メディアに出演。日経新聞、QUICK、ロイター、ブルームバーグ、時事通信、東洋経済オンライン、幻冬舎ゴールドオンラインなどでも執筆、コメントを行う。ヘッジファンド・テクニカルのキャリアとして世界のテクニカルアナリスト協会を束ねる国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の理事などを歴任。早稲田大学ビジネスファイナンスセンターや同志社大学、青山学院大学等で講師を務める。
著書には投信営業に行動ファイナンスアプローチなどを活用した『会話で学ぶ!プロフェッショナルを目指す人の「投信営業」の教科書』(2021年)がある。
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