前回は、「日本は財政危機ではない」といえる理由を説明しました。今回は、個人でも購入可能な2種類の日本国債を紹介します。

2つの国債の違いは「取り扱いのしやすさ」にある

国債に代表されるデットは、ハードルが低く簡単に始められるので初心者向けの投資商品です。リターンの得られ方が銀行の定期預金とよく似ているので理解しやすいですし、そのわりには金利が銀行預金よりも少し高いのでメリットもすぐに分かります。

 

ここまで読んでこられた投資初心者であれば、次にまとまったお金ができたら、1%以下の金利しかつかない銀行の定期預金ではなくて、国債を買ってみようかなという考えが頭に浮かばないことはなかったでしょう。

 

では実際に国債を買ってみましょう。2014年4月現在、個人が買える国債には個人向け国債と利付国債の2種類があります。

 

銀行などが保有していて市場で取引されているのは利付国債で、個人向け国債とは「国債」と名前がついていますが、似て非なる金融商品と考えてください。個人向け国債とは、いわば、投資初心者でも受け入れやすいように、国債を銀行の定期預金に近づけた商品です。

 

どのように違うかといえば、その取り扱いのしやすさです。

 

利付国債は、債券ですから、いったん購入してしまうと返済期限が来るまで中途解約ができません。もし途中で換金したくなった場合は市場で売却するしかないのです。そして、市場で売却する場合は、そのときの時価(市場価格)でしか売れませんから、場合によっては元本割れすることがあります。

 

一方、個人向け国債の場合は、購入後1年以上が経っていれば、返済期限が来ていなくても国が額面で買い取ってくれます。つまり元本の返済が保証されています。ただし、その際には過去1年間の金利は差し引かれます。つまり、1年で換金してしまうと元本しか戻ってきません。

個人向け国債の金利は定期預金とほぼ変わらないが・・・

このように比較すると、個人向け国債は利付国債に比べてずいぶんと有利な商品に見えますが、ここでもハイリスク・ハイリターンの法則は生きています。

 

個人向け国債は、同じ期間であっても、利付国債よりも金利が低いのです。そのため、現在のところ個人向け国債の金利は、金利のよい一部の銀行の定期預金とさほど変わらないかもしれません。商品内容がほぼ同じなのですから、当然といえます。

 

とはいえ、個人向け国債には定期預金にはない良さもあります。それは変動金利型の商品があることです。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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