日本が抱える「借金」は他国と比べて突出しているが・・・
市場における高い信用度に反して、格付け会社が日本国債のランクを上げようとしない理由として、日本の債務残高(国債を主とする政府の借金の合計額)が非常に高いことがあげられています。
確かに日本の債務残高は2014年時点で1200兆円近くあり、おおざっぱに計算すると国民一人あたり1000万円もの借金があることが分かります。しかし国家の債務は決して珍しいことではなく、アメリカだって20兆ドル(2000兆円)もの債務残高があります。国民の生活保障をしたり公共事業を発注したり、国家の運営にはお金がかかるのです。
なかでも日本が大変だといわれているのは、債務残高の対GDP(国内総生産)比が世界一高いことです。日本のGDPはだいたい500兆円ですから、GDP(収入)の2.4倍もの債務(借金)があると思われているわけです。家計にたとえたら、大赤字の火の車ですね。当然、債務残高は毎年増え続けています。
債務残高の対GDP比は2位のギリシャで1.7倍、イタリアで1.3倍、アメリカで1.1倍程度ですから、確かにこの数字だけを見ると日本が突出しているようにも見えます。
日本は世界一の「金持ち国家」!?
しかし、それは間違いです。日本の財政が危機であるという話題は、増税をしたい財務省のポジション・トークと、危機を煽ると売り上げが上がるマスコミの偏向報道のせいで必要以上に大きくなっているようです。
まず、誰かの経済状態を云々するときには、その資産を正確に見積もらなければなりません。日本は確かに借金が1200兆円ありますが、それと同時にアメリカをはじめとする各国の国債を莫大に持つお金の貸し手でもあります。
日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は、2013年末で約300兆円あります。海外に対しては、日本は債務国ではなく、世界一の債権国、つまり金持ち国家なのです。ちなみにアメリカは本当の意味での借金大国です。
では、日本政府の債務残高1200兆円とはいったい何なのでしょうか。実は日本政府の債務(借金)における債権者(貸し手)は日本国内の企業や個人です。なんと、日本国債はその90%以上が日本人によって購入されているのです。
海外から見ると、金利があまりにも低い日本国債は、いくら安全とはいえ、投資対象としての魅力がないからです。
この話は次回に続きます。