インフレリスクに強い「変動金利型国債」
前回の続きです。変動金利の対義語は固定金利です。固定金利とは、投資した時点で決められた金利が、返済期限までずっと続くことです。例えば、固定金利1%の10年国債を買えば、10年間毎年1%の金利がつくことになります。これは通常の定期預金と同じ仕組みです。
一方、変動金利型国債の場合は、そのときどきの市場動向にあわせて金利が変動します。例えば1年目は金利が1%だったとしても、2年目にインフレの影響で金利が上昇すれば、例えば1.5%など上昇したぶんだけの金利がつきます。逆にデフレが進行して金利が下がれば、例えば金利が0.5%になることもあります。
この先金利が上がると思えば変動金利型国債が有利ですが、下がると思えば固定金利型国債が有利です。どちらにもメリット、デメリットはありますが、現在は非常に金利が低い状況で、なおかつ今後はインフレが来て金利の上昇が予想されるので、変動金利型国債が今は人気があるようです。
このように説明すると、変動金利型国債でインフレリスクのヘッジができそうですが、筆者はあまりその見方に賛成しません。
なぜなら、物価の上昇(インフレ)から金利の上昇が来るまでにはタイムラグがあり、また今後起きるインフレ率と比べると、金利の上昇率は緩やかなものになると予想されるからです。例えば、2%のインフレ目標が達成されたとしても、金利が2%に届かなかったとしたら、実質的な資産は目減りしてしまいます。
とはいえ、初心者が最初に購入する投資商品として、個人向け国債はとても優れています。元本保証ですし、購入に際して、手数料を支払う必要もないからです。実際は金融機関は販売代行手数料を取っているのですが、購入者ではなく国から徴収しています。
国債は郵便局や銀行でも購入可能
では、実際に国債を購入してみましょう。
国債の購入は、郵便局や銀行、信用金庫などの窓口で行えます。自分が口座を持っている金融機関に行って、個人向け国債を購入したいと相談すればよいでしょう。個人向け国債の発行は毎月1回行われていますし、1万円から買えるので誰でも気軽に試してみることができます。
2014年4月現在、個人向け国債には3種類の商品があります。変動金利型10年国債と、固定金利型5年国債と、固定金利型3年国債です。金利はそのときどきで異なってきますが、いわゆる利付国債の基準金利よりは低くなります。
ところで、実際に国債を購入しようとすると「この商品は預金と違って元本保証ではありませんが理解なさっていますか」などと脅すように念押しをされます。これは預金保険で守られていないという意味です。
また「1年間は換金ができませんが、よろしいですか」などとも聞かれるでしょう。預金ではないというだけで、ずいぶんと厳重な注意が必要になるものですが、リテラシーのない人が投資に手を出さないように国も安全を期しているわけです。
このようにして、国債の購入は完了します。あとは年に2回口座に金利が振り込まれて、満期(返済期限)が来たときに元本が戻ってくるだけです。
利付国債の購入も、個人向け国債とそれほど変わりません。金融機関の窓口に行って利付国債(新型窓口販売方式国債)が欲しいと相談するだけです。個人向け国債との相違点は、最低価格が5万円ということと、中途換金したいときには市場で売買しなければならないことぐらいです。
なお、2014年4月現在、新型窓口販売方式国債には変動金利型はありません。固定金利型で2年、5年、10年満期が用意されているだけです。個人向け国債よりも短期の国債が用意されているので、使い勝手がいいかもしれません。また、同じ期間の国債を購入するのであれば、利付国債のほうが高金利です。
たとえ1万円でも国債を購入すると、折に触れて世の中の動きが気になってきますし、経済ニュースにも興味がわいてきます。社会人としての教養を高めるためにも、試しに一度、国債を買ってみてください。