賃貸人に補修義務はないものの…リスクの意識は重要
以上の裁判所の考え方をまとめますと、
・賃貸借契約締結当時に耐震性能が問題となったかどうか、または、賃貸物件が最新の耐震性能を満たしていることが契約の内容となっていたかどうかがまず問題となる。
→最新の耐震性能を満たすことが契約の内容となっていた場合は、それを満たすよう賃貸人は修繕をする必要がある。
→契約締結時に、耐震性能を特に問題としなかった場合は、その建物が建築当時に予定されていた耐震性能を有していればよい。
・ただし、契約継続中に、賃貸物件の利用にあたって具体的な問題が生じた場合は、賃貸人においても対応が必要になる場合がある。
といえるでしょう。
この裁判例では、賃貸人の耐震工事に関する修繕義務は原則として否定されていますが、他方で、万が一、強大な地震が発生して賃貸建物の崩落等が発生して賃借人に損害が発生した場合、場合によっては、賃貸人にも責任追及が及ぶリスクがあります。
したがって賃貸人としては、このリスクを意識しつつ、賃貸物件の耐震性能を意識した管理を検討する必要があると考えられます。
※この記事は、2021年9月20日時点の情報に基づいて書かれています。(2022年4月5日再監修済)
北村 亮典
弁護士
こすぎ法律事務所
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