(画像はイメージです/PIXTA)

病気がちになった独身の高齢叔父。甥姪は、叔父に母親違いの姉がいることを知り、万一の叔父の相続について気を揉んでいます。片親が違うきょうだいの存在は、相続にどう影響するのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

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高齢独身の叔父には「母親違いの姉」がいて…

太一さんのお父さん一郎さんは、最初の妻である初江さんとの間に女の子である恵子さんをもうけましたが、初江さんと離婚し、初江さん恵子さんとは音信不通となりました。その後、一郎さんは文子さんと再婚し、長男の太一さん、次男の健二さんが生まれました。

 

太一さんは、陽子さんと結婚し、太郎さんと花子さんという子どもがいます。

 

健二さんは、独身です。

 

あああ
親族関係図 太一と健二は同じ両親のもとに生まれたきょうだい。恵子は、太一と健二の父親が前妻との間にもうけた子。

 

一郎さんと文子さんは亡くなりましたが、太一さんと健二さんは、一郎さんが残してくれた不動産を元手に不動産事業を拡大し、それぞれ、貸しマンションや貸しビルを持っています。

 

太一さん、健二さんもそれぞれ80歳と76歳となり、健二さんは、病気がちになりました。

 

太郎さんと花子さんは、父親である太一さんが亡くなったときには、実子である太郎さんと花子さんが遺産相続すればいいので問題はないと考えています。

 

しかし、お金持ちで妻子のいない叔父の健二さんが亡くなったときには、健二さん所有の貸しマンションや貸しビルといった財産がどうなるのか心配しています。とくに、音信不通となっている一郎さんの先妻・初江さんとの子どもである恵子さんの相続権の有無が気がかりです。

 

さて、健二さんが亡くなった場合の相続はどうなるのでしょうか。

 

①父親が同じでも母親が異なるので、兄弟とは言えず、恵子さんには健二さんの遺産について相続権はない。

 

②母親が異なっても父親が同じなら、きょうだいなので、恵子さんには相続権があり、相続分もほかのきょうだいである太一さんと平等に2分の1ずつとなる。

 

③母親が異なっても父親が同じであればきょうだいなので、恵子さんには相続権があるが、相続分は太一さんの2分の1となる。

 

きょうだいといえば、両親を同じくする者同士というのが一般的です。しかし最近は、離婚・再婚が増えていますので、それにしたがい、きょうだいといっても片親だけが共通というケースも増えてきています。

 

たとえば本件のように、前妻の子どもと後妻の子どもは母親が異なりますが、父親は共通のため「きょうだい」となります。逆に、母親が共通で父親が異なるきょうだいもあります。

 

このように、片親だけを共通とするきょうだいを、法律上は、「半血兄弟(はんけつきょうだい)」と言います。そして、両親を共通とするきょうだいを「全血兄弟(ぜんけつきょうだい)」と言います。

 

子連れの父親と子連れの母親が再婚した場合は、子ども同士は両親が共通ではないので、両親が結婚して一緒に住んでいても、法律上はきょうだいではありません。

 

ただし、父親と母親が、相手の子どもと養子縁組すれば、きょうだいとなります。

 

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