
事業の失敗で自己破産した夫は、後妻とその父親の資金援助でビジネスを立て直すことができました。夫婦は子どもにも恵まれ幸せいっぱいでしたが、気がかりなのは、夫が先妻との間にもうけた2人の子どもです。後妻は、自分と父親の援助で成功した夫の財産が、先妻の子どもたちに相続されることに納得できません。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。
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自己破産した経営者、後妻とその父親の援助で再起する
太一さんの娘である花子さんは、バツイチの和夫さんと結婚しました。
和夫さんは、飲食店を営んでいましたが失敗し、自己破産もし、当時の妻である絵里子さんと離婚しました。和夫さんは、絵里子さんとの間に、洋君と海君の2人の子どもがいます。
太一さんや花子さんの資金的な支援もあり、和夫さんは、飲食店経営を成功させ、3店舗を持つまでになりました。
花子さんは、和夫さんとの間に長男・和樹君が生まれたことから、家を買おうと考えています。
ただ、花子さんは、和夫さん名義で家を買うと、和夫さんに万が一のことがあったときに、前妻の絵里子さんとの子どもである洋君と海君に相続権が発生してしまうのではないかと心配しています。花子さんは、自分が和夫さんをゼロから立ち直らせて財産を築けるようになったのに、自分と結婚したあとに築いた財産を、前妻の子である洋君と海君に一部でも取られてしまうのは納得できません。

花子さんはどうしたらよいでしょうか。
①和夫さんは、自己破産しており、離婚した後に築いた資産については、洋君と海君に相続権は発生しないので心配はない。
②和夫さんが花子さんと和樹君に全財産を相続させるという遺言を書けば全財産を花子さんと和樹君が相続するので心配はない。
③和夫さんが花子さんと和樹君に全財産を相続させるという遺言を書いても、洋君と海君には遺留分があるので、花子さんと和樹君に全財産を相続させるという遺言を書いたうえで、なるべく和夫さん名義の財産を残さないようにするほかない。