「賃貸マンションは共有ね!」…10年後、物件を売りたい妹 vs. 売りたくない兄、攻防の行方【弁護士が解説】 (画像はイメージです/PIXTA)

資産家の父親を亡くした兄妹は、高額な賃料が入る収益物件を共有名義にしました。それから10年が経過し、妹はマンションを手放したいと考えていますが、兄は同意してくれません。妹は、どうすれば自分の意思を通せるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

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家賃収入のあるマンション、兄妹で共有して10年後…

太一さんは、自宅、預貯金、投資信託、貸しマンションを残して亡くなりました。相続人は、太一さんの長男の太郎さんと、長女の花子さんです。

 

自宅は太郎さん、預貯金と投資信託は花子さんがそれぞれ相続しましたが、貸しマンションは建設時のローンが残っていたことから、賃料からローンや保守費用を支払いつつ、残ったものを2人で分ければいいと考え、2分の1ずつの共有にしました。

 

太一さんが亡くなってから10年が経過し、マンション建設時のローンも返済が終わりました。

 

世間はコロナ禍の金余りで、首都圏の不動産は値上がりし、貸しマンションの売却価格は2億円ともいわれています。そのため花子さんは「2人で分けても1人1億円となることから、貸しマンションを売りたい」と考えています。

 

しかし太郎さんは、マンションの賃料が年間1200万円あることから「2人で分けても毎年600万円ずつの収入となるのだから、マンションをずっと持っていたい」と主張し、マンションの売却に反対しています。

 

マンションを売りたい花子さんはどうしたらよいでしょうか。

 

①一度マンションを共有にしたら、共有のまま持ち続けるしかない。

 

②マンションを売却するには共有者全員の承諾が必要なので、太郎さんの承諾を得られない以上共有のまま持ち続けるしかない。

 

③本件マンションは区分所有が可能なので、共有物分割請求により、区分所有登記をして、花子さんは花子さんが持っている区分所有権を売却することができる。

 

④本件マンションの区分所有登記ができない構造の場合、あるいは区分所有にすると価値が下がってしまう場合、共有物分割請求により、花子さんは、太郎さんに、花子さんの持分を買い取るか、マンションを売って売却代金を2分の1ずつ分けるよう請求できる。

 

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高島総合法律事務所
代表弁護士 

1965年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1994年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。現在、高島総合法律事務所、代表弁護士。

不動産会社、個人の資産家等の顧問を務めており、『相続・遺産分割する前に読む本―分けた後では遅すぎる!』、『訴えられたらどうする!!』、『企業のための民暴撃退マニュアル』(以上、税務経理協会)などの著作がある。

「遺産相続・遺留分の解決マニュアル」をホームページに掲載している。

著者紹介

連載相続専門弁護士が解説!よくある相続トラブル実例集

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