(※写真はイメージです/PIXTA)

「仮想通貨(暗号資産)」と聞くと、危ない投機商品というイメージを抱く人が多いようです。しかし、実は仮想通貨(暗号資産)のマイニングが“手堅い積立金融商品”であることをご存じでしょうか? 1級FP技能士・笹田潔氏が解説します。※なお、2019年5月31日に仮想通貨の取引に対する新たな規制を盛り込んだ資金決済法および金融商品取引法の改正法が成立し、法令上の整理として「仮想通貨」の呼称が「暗号資産」に変更されたことから、本稿でも以下「暗号資産」と記載します。

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「暗号資産=危ない投機商品」と思われがちだが

■2026年には市場規模「12億米ドル」と予想…暗号資産は期待の金融商品

「暗号資産」は、詐欺・ビットコイン・バブルなどと投機的な印象を受けたり、関係している人はいかがわしく儲けていると思われたりしがちな金融商品です。

 

2014年に起こったマウントゴックス事件(マウントゴックス社のサーバーが何者かによってハッキングされ、ユーザー保有分の約75万BTCと自社保有分の約10万BTCで、当時のレートでは約470億円相当のビットコイン〔BTC〕と預かり金が大量流出してしまった事件 ※1)により、暗号資産はハッキングや詐欺により投資した資金を失う危ない投機商品という印象がついてしまったようです。

 

しかしながら、世界的な暗号資産の市場規模は、2021年の4億米ドルから、2026年には12億米ドルに達すると予測されています(株式会社グローバルインフォメーション調べ ※2)。

 

※1 マウントゴックス事件の債務弁済問題について

マウントゴックス社の破産手続きは2014年4月に東京地裁が開始し、一部の債権者が民事再生法の適用を求めたことで、2018年に民事再生手続きに移行。2021年2月に東京地裁が再生計画案を決議する旨を決定して再生計画案が可決されました。この再生計画案に基づき、債権者には暗号資産による返済が実施される予定です。

 

※2 https://www.gii.co.jp/report/vmr935458-global-crypto-asset-management-market-research.html

暗号資産の「マイニング」って何?

暗号資産を学び始めると「マイニング」という言葉が出てきますが、今回はこのワードについて詳しく説明してみたいと思います。

 

まず、マイニングを日本語に訳すと“採掘”になりますが、デジタルデータのマイニングとは、データから有益な情報を、採掘(マイニング)する作業のことを指します。

 

次に、ブロックチェーンの記録方法として一定期間ごとにすべての取引記録を取引台帳に追記する必要があり、その追記の処理には、ネットワーク上に分散されて保存されている取引台帳のデータと、追記の対象期間に発生した取引のデータの整合性を取りながら正確に記録することが求められます。

 

暗号資産におけるマイニング作業とは、追記作業の手伝いをしてくれた人、追記作業のために膨大な計算処理をし、結果として追記処理を協力してくれた人に、見返りとして暗号資産が支払われる仕組みのことです。つまり、追記作業を手伝って、暗号資産全体が健全に運用されるよう協力してくれた報酬なのです。

 

分かりやすく言いますと、マイニング作業をしたマシン(パソコン)に対し、サービスコインである暗号資産を分け与えてくれるのがブロックチェーンという仕組みです。

 

※「いらすとや」の素材より筆者作成
※「いらすとや」の素材より筆者作成

マイニング作業は誰でもできる

実はこのマイニングという作業は、マイニングマシンさえ購入すれば誰でもできる作業です。特にハイスペックなマイニングマシンを買わなくても、パソコンにマイニングアプリをチューニングすることでも実現可能です。ただ、マイニングするコインにどのコインを選ぶか、また、設定に専門的な知識が必要なことから、すでに持っているパソコンを利用する方法は、おすすめできません。

 

また、購入すべきマイニングマシンはインターネットで、現時点での暗号資産の価値で、どのくらいのプロフィット(収益)が得られるか、コスト(電気料金)を控除した計算をしてくれます【図表】。

 

出所:https://www.asicminervalue.com/miners/jasminer/x4
【図表】マイニングマシン(参考) 出所:https://www.asicminervalue.com/miners/jasminer/x4

 

【図表】の画面では、コイン価格が変わらなければ、一日あたり、月あたり、年あたりのマイニング量に該当するプロフィット(収益)を一瞬で計算してくれます。

 

昨今、コイン価格が高騰したことで、マイニングに必要となる電力が安定供給されるところであれば、世界各国(もちろん、日本でも)どこでも、可能なのです。

 

たとえば、上記マイニングマシンを購入して、国内で24時間稼働させた場合、ビットコイン価格が508万円であれば、1年間で402万円がマイニング収益となる計算なのです。

暗号資産のマイニングが「手堅い」ワケ

■マイニングは「価格変動の大きい資産を安全に購入する手法」に該当

暗号資産を保有する方法は以下の3つが考えられます。

 

①取引交換所に日本円を入金し、その日のレートで購入する

②人から貰う、もしくは交換する

③マイニング報酬として、サービスコインを得る

 

しかしながら、暗号資産の価格はボラティリティ(値動きの幅)が大きく、金融資産として保有するには購入するタイミングや、売却する時期によりキャピタルゲインやロスが生じてしまいます。

 

しかし、マイニングは毎日コインを自動生産しているため、指定されたウォレットに毎日コインを入金させることが可能です。

 

これは、投資の基本である「ドルコスト平均法」に該当し、ボラティリティの大きい不安定な資産を安全に購入する手法の一つなのです。

 

もし、上記のマシンが1,000万円で入荷して稼働させることができるのであれば、あくまでも暗号資産の価格が現在の価格と同じであったという前提の計算ですが、約30ヵ月で購入資金を回収できる計算になります。

 

また、30ヵ月経過後もコスト(電気料金など)が円換算マイニング額を上回らなければマシンを止める必要はないのです。ただし、マイニングマシンは新機種が導入されることでマイニングできるコイン量は微減していき、稼働させるのは4年程度が限界と言われています。

「暗号資産のマイニング」まとめ

暗号資産を保有資産の一つのアセットクラスに加えるということには、抵抗のある方が多いです。特に銀行預金の好きな国民性から、リスクを取って資産を増やすという手法は受け入れがたいことかもしれません。

 

株式や債権すら購入したことがない、ましてや、暗号資産など夢の夢と思っている方が、新型コロナとウクライナ・ロシア情勢により、世界中がインフレに向かい保有資産の金利が物価上昇に追いつけず目減りしていったらどうでしょう。

 

暗号資産は、デジタル・ゴールドと呼ばれることもあります。

 

それは、どの暗号資産も通貨発行枚数に上限を設けているからです。前記の通り世界的な暗号資産の市場規模が3倍になったら、どの暗号資産のコインも通貨発行枚数を急激に増やすことはできず、各コインの価値が3倍になる計算が成り立ちます(すべての通貨が3倍となるわけではなく、価値の上がらない通貨もあれば、何十倍・何百倍となる通貨も存在するものと考えられます)。

 

インフレに強く、市場規模が増すと想定される暗号資産を、ドルコスト平均法で購入し続ける…それが暗号資産のマイニングなのです。

 

 

笹田 潔

1級FP技能士

宅地建物取引主任士

 

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