管理費会計は「お財布」、積立金会計は「貯金」
マンションは購入したらおしまい、ということではありません。多くの区分所有者が快適に長期間住み続けるために、建物の補修や更新を行い、居住者間で生活ルールを定める必要があります。
このように、マンションの資産価値の維持・向上と、居住者の生活の維持・向上を継続的に行うことを、総合的に「マンション管理」と呼びます。
なかでも、日常的な管理業務や建物の定期的な補修・更新は、マンションの寿命を延ばす大切なものです。そして、それらを行うためには、管理費と修繕積立金というお金が必要になってきます。
マンションの会計には、「管理費会計(一般会計)」と「積立金会計(特別会計)」というふたつがあります。イメージで説明すると、管理費会計は管理組合の「お財布」に該当し、日常の必要に応じてお金の出し入れがあります。一方の積立金会計は「貯金」に当たります。そして、お財布と貯金のそれぞれに収入と支出があります。
大まかにいうと、まず収入として、管理費会計のお財布には管理費と駐車場使用料等が入り、積立金会計の貯金には修繕積立金が入ります。支出としては、管理費会計のお財布からは管理委託費と水道光熱費などの雑費が出ていき、積立金会計の貯金からは大規模修繕工事費や設備更新などの費用が捻出されます。
[図表]会計区分別収入支出一覧
「管理費」と「管理委託費」の違いを理解しておく
ここで、ぜひ使い分けていただきたい用語があります。それは「管理費」と「管理委託費」です。
ときどき、「うちのマンションは管理費が高い」という言葉を聞きますが、それが管理費を指しているのか、管理委託費のことをいっているのか、実は話している本人もよくわかっていない・・・というケースが多いのです。
まず、「管理費」とは「お財布に入るお金」、つまりそれぞれの区分所有者が毎月支払っている、マンションの管理にかかわる費用のことです。一方の「管理委託費」とは「お財布から出て行くお金」、つまり管理費会計から管理会社に支払う管理委託の費用を指します。
「管理費」=「管理委託費」という図式にはなっていないのが通常ですが、その点をきちんと理解しておいていただきたいと思います。
イラスト=田中マコト